赤眼は太陽に焦がれる (ページ25)

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弐拾参ページ25

＊

爆豪と麗日と呼ばれた女子がコートに立つ

方や悪人面、方や可愛らしい女子
観客の心理としては後者を応援するだろう

そんな中……

「ごぜーん!!頑張ってくださーいｯ!!!!
キャー伊黒さん、御前が今こっちを見たわ！」

「ああそうだな甘露寺、御前が居るな」

「伊黒さん、そろそろ蜜璃さんではなく
試合を、御前を見ては如何ですか」

「見ずとも結果は分かりきっているだろう」

「うむ！伊黒の言い分は最もだが
見てやらねば戦いに挑む双方に失礼だ!!」

「伊黒よォ、御前の勇姿を見逃すってのかァ？」

「ねぇちょっとキミ立たないでくれる？見えないんだけど」

「南無……時透、私と席を代わるか？」

「…………」

「人酔いでもしたのか冨岡
なんでお前はそう、偶に地味なんだ？」

「…………」

「お、おい……まじで無理はすんなよ？
実弥オニーサーン！義勇クンが具合が悪そうでーす！」

「おい宇髄、誰がてめぇらの兄貴だァ？」

「うぇぇ…音が多くて気持ち悪いよぉ……
炭治郎ぉ………もう帰ろうよぉ……」

「だｯ、大丈夫ですか義勇さん!?

善逸も大丈夫か？
だから耳栓を持ってこようっていっただろう」

「勝てよ勝太郎!!」

「伊之助、"勝己さん"だぞ……」

「炭治郎……もうすぐ始まるみたい」

「そうか、ありがとうカナヲ」

ただでさえ面が良いと目立つ13人は
その騒がしさ故に殊更注目を浴びていた

"御前"という独特な呼び名も目立つ一因だろう

御前と呼ばれた彼の心中としては
"もう何も言うまい"といったところだ

既に諦めの境地に達している

実況のプレゼント・マイクの合図で開戦した第6試合は
爆豪の手から起こる爆発によって苛烈を極めた

「どうやら、彼女は御前に気に入られたようですね」

「当の御前は無自覚だろうけどなァ」

「御前は努力する人と諦めない人好きだよね」

「何方とも、御前が自分には無いものだと
思い込んでいるものだな

まったく、自覚がないというのも困りものだね
俺はお前のことも言っているんだぞ冨岡」

「？」

「無駄だぞ伊黒、此奴は死ぬまで己の才能を自覚しなかった
派手に地味な野郎だ」

「それは結局どっちなんだァ？」

爆発音の響く会場で古参の柱は少女が気に入られたことを
歓迎しようか哀れもうかを思案していた

何故なら……

BOOM!!

BOOM!!!!

何故なら爆豪はお気に入り限定で
可愛い子には旅をさせる(殊更過酷な試練を持ってくる)タイプだからである……