赤眼は太陽に焦がれる (ページ23)

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弐拾壱ページ23

＊

開始……とは言いつつも
爆豪チームは全然動いてなかったりする

各々が自身の存在感を限りなく薄くすることを心掛け
会場の壁の花になることに徹していた

恐らくプレゼント・マイクですら存在を忘れている

爆豪チームのポイントは未だに手中にあった

しかし今現在乱戦に身を投じている生徒たちは
目先のハチマキを獲ることに夢中なのだ

「なぁ爆豪！良いのかよ、こんな所で突っ立っててよぉ!!」

『動きが鈍って注意力散漫になった頃に狩った方が楽だろ
漁夫の利ってやつだ……もう少し待て』

「漢らしくねぇ!!」

『戦法は自由だ…正面から突っ込むのも悪くはねぇが
それでこのハチマキまで盗られたら元も子もねぇだろ』

「！……確かに!!」

さては此奴獣の子(嘴平伊之助)と同系列だな？と爆豪は思った

一直線具合が似ているのかもしれない
あとは声がでかいところ
素直なところ

あげればキリがないかも知れない

『……そろそろ行くか…
デクの騎馬の後ろを走り抜けろ、それだけでいい』

「お、おう」

爆豪の指示に騎馬の3人は疑問符を飛ばしていたが
取り敢えず言う通りに従うことにした

爆豪に目を付けられた緑谷の騎馬は現在轟の騎馬と相対していた
人気者は大変だなぁ……と爆豪は的外れなことを思う

自身の額に巻かれたハチマキを取り
緑谷の額のハチマキと取り替える

その手際は騎馬が通り過ぎる一瞬のうちに行われ
正面にいる轟はおろか、緑谷でさえ気が付かなかった

爆豪の騎馬が通り過ぎた直後
飯田の初見必殺で緑谷の額のハチマキが取られる

1000万ポイントのハチマキの移動に会場は湧き上がるが
実はその前に既にハチマキは移動していたりする

ハチマキが1000万ではないことに轟は気がつくが
緑谷はハチマキを取り返そうと追いすがる

爆豪の騎馬はまたもや会場の隅で観戦の姿勢をとっていた

「え、どういうこと？」

『スった』

「スったぁ!?」

「おい、何やってんだヒーロー志望」

『1000年も生きてりゃスリの方法くらい学ぶ機会はある』

「スリを学ぶな。つか誰に学ぶんだ」

『孤児(みなしご)の餓鬼ども
授業料っつうことで飯作ってやったりしてたな

……懐かしい』

「てか爆豪いつスったの？」

『後ろ通ったとき』

「アタシいま心の底から爆豪チームでよかったって思ってる」

芦戸のその言葉に他2名はただただ頷くだけだった

1位爆豪チーム所持ポイント 10000325ポイント