月日は流れるのに ページ44
その日、きっと入学したての新入生よりも私は緊張していただろう。
いつもより丁寧に着たセーラ服。
１年生の時はあんなに似合わなかったのに、
今ではすっかり体に馴染んでいた。
伸ばそう伸ばそうと思っていた髪も、
結局最後まで短いまま。
首元は相変わらずスースーした。
白色に赤ラインのスニーカーも今日はやめて、
白に黒のシンプルなものを足にいれた。
真っ黒なカバンを背負って、深呼吸を一つ。
「じゃ、行ってくるね」
お母さんに笑顔を向けて家を出た。
月日が流れるのはあっという間なもんで
中学生、最後の日になりました。
「A、おはよう」
片道徒歩20分の道のり。
特に面白みのない景色、だけど
美玖と歩いた３年間は
私にとってかけがえのないもの。
「ね、美玖」
「なに〜？」
「３年間、本当にありがとう」
気づけばずっと隣にいた幼馴染。
いつの間にか当たり前になっていたけど
「やだ、やめてよ改まって」
「ごめん」
「…でも、こっちこそ、ありがとう」
本当に今日が、最後の日。
・
・
・
・
・
「みんなっっ！！本当にありがとうね」
相変わらず、泣くのも全力な先生。
クラス替えをしても担任は変わらなかった。
「…泣きすぎだって、先生」
黒岡くんが先生にもらい泣きし出す。
それにつられて鼻をすする音がちらほら聞こえてきた。
この一年間を、思い出していた。
春の校外学習も、夏の暑い日も、
秋の体育祭も、冬の寒い日も、
新しく出来た友達と、先生と、
美玖と、黒岡くんと、菜々香と、
皆で一緒に笑いあってきたのに
周りを見渡しても、アナタはいなかった。
最後のクラス替え
佐野くん以外の皆と同じになったのは
友達の彼氏を好きになった私に、
アナタを忘れると誓って電話したあの日からも
相変わらず頭のどこかで
アナタのことを考えてしまっている私に、
神様がようやく罰を与えたんだと思った。
ただの友達の一人だから
一緒のクラスじゃなきゃ
もう毎日会うことも
アナタを後ろから見つめることもできない。
だけど、唯一アナタを確実に見られる時間があって
“菜々香、帰ろ”
たまにクラスまで菜々香を迎えにくるアナタが
優しい顔で菜々香に微笑みかけるアナタが
肩を並べて帰っていく二人の姿が
悲しくて仕方ないのに
顔を見られて嬉しいだなんて
一生懸命受験勉強して少しは賢くなったはずなのに
アナタに関してはちっとも学習できていない。
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ど根性みかん - このお話凄く大好きです！読んでいて切なくなります。早く続きが読みたいです！これからが楽しみです！ (2019年3月19日 22時) (
レス) id: c0b50274da (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - はすおさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて、涙が出るくらい嬉しいです(；ω；)なかなか上手く重ならない二人ですが、あたたかく見守っていただけますと嬉しいですm(_ _)m(笑) (2018年2月13日 21時) (レス) id: 03a3cd796e (このIDを非表示/違反報告)
はすお(プロフ) - んーーー！！めっちゃ読み途中で｢心配｣読み終わったとこなんですけどちょっと好きすぎて！！最高です！！素直になれない玲於可愛すぎます｡｡｡主人公とのすれ違いに叫びそうになる｡｡｡素晴らしい作品ありがとうございます、これから続き読んできます笑笑 (2018年2月13日 19時) (レス) id: 2c6c075be9 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！！感動だなんてそんな…(；ω；) 勿体ないお言葉です(笑) これからも精一杯頑張りますので、よろしくお願い致します(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - ゆいさん» 温かいお言葉ありがとうございます(;_;) 続編ではもっと自然に現代に繋げていけるようなお話を考えていきたいと思いますので、読んでいただけますと嬉しいです(*^_^*) 勧めていただくのに恥ずかしくないような作品に頑張って作り上げていきたいと思っております(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのぴお
| 作成日時：2018年1月3日 1時
