おめでとう ページ25
菜々香side
「…………………」
数秒間の沈黙。
耐えられなくなって開けた目の先には
顔が真っ赤な玲於くんがこっちを見ていた。
玲於くんの目線が
私しかとらえていないのが
死ぬほど嬉しくて
「別に私のこと好きじゃなくてもいいから」
また
「好きな人がいないなら、付き合って」
ズルいことを言った。
「…………………うん」
少し俯いて考えた後
赤みの残る顔をこっちに向けて答えた。
観覧車に二人
私たちはまだ中学生で
付き合うってことがどういうことなのか
その本質は理解していなかったけれど
玲於くんは私のものだって
独占する権利を得たことは、分かった。
また再び地上に近づくにつれて、心拍数が上がった。
Aは、どう思うんだろう？
黒岡くんも驚くかな？
玲於くんは、どんな反応するんだろう。
「ありがとうございました〜！」
従業員さんの声にハッとして急いで降りる。
また、同じ、来た道を戻る。
変わったのは、私たちの関係。
数メートル先にはAと黒岡くんがいて
ゲラゲラと笑いながら話す姿が目に映った。
「仲良しだね、二人」
「………うん」
本当に意地が悪いな、私。
一瞬玲於くんの顔が歪んだのが分かった。
「あっ、おかえり〜！！」
私たちに気づいたAが笑顔で手を振ってくれた。
「聞いてくれよ、コイツな」
黒岡くんがAを指さして何か言おうとしたけど、肩をグーで叩いて制止した。
「言ったら怒るよ」
「ほんと馬鹿力………」
そんな二人を見て笑いながらも、また、
玲於くんは少し寂しそうな顔をした。
そんな玲於くんが見てられなくて
「私たち、付き合うことになった」
すぐに、結果を告げた。
「え………えぇっ！？」
遊園地中に響く黒岡くんの声。
「ほんとに……？」
それとは真逆な、Aのか細い声。
「うん」
「そっか。そっか、おめでとう！！」
「A、本当にありがとう」
お祝いの言葉を並べるAの顔は本当に優しくて、直視できなかった。
本当に自分は嫌な奴だと、改めて思う。
「佐野くんも、おめでとう」
「うっせーブス」
「は？」
「お前も彼氏できるといーな」
「…別にいらないもん」
そう言ったAの言葉に
自然に少し上がった玲於くんの口角。
本当に無意識なんだろうな。
余計に腹がたって、玲於くんの腕を掴んだ。
ガキだな、私。
暑い、熱い、夏の日。
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ど根性みかん - このお話凄く大好きです！読んでいて切なくなります。早く続きが読みたいです！これからが楽しみです！ (2019年3月19日 22時) (
レス) id: c0b50274da (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - はすおさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて、涙が出るくらい嬉しいです(；ω；)なかなか上手く重ならない二人ですが、あたたかく見守っていただけますと嬉しいですm(_ _)m(笑) (2018年2月13日 21時) (レス) id: 03a3cd796e (このIDを非表示/違反報告)
はすお(プロフ) - んーーー！！めっちゃ読み途中で｢心配｣読み終わったとこなんですけどちょっと好きすぎて！！最高です！！素直になれない玲於可愛すぎます｡｡｡主人公とのすれ違いに叫びそうになる｡｡｡素晴らしい作品ありがとうございます、これから続き読んできます笑笑 (2018年2月13日 19時) (レス) id: 2c6c075be9 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！！感動だなんてそんな…(；ω；) 勿体ないお言葉です(笑) これからも精一杯頑張りますので、よろしくお願い致します(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - ゆいさん» 温かいお言葉ありがとうございます(;_;) 続編ではもっと自然に現代に繋げていけるようなお話を考えていきたいと思いますので、読んでいただけますと嬉しいです(*^_^*) 勧めていただくのに恥ずかしくないような作品に頑張って作り上げていきたいと思っております(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのぴお
| 作成日時：2018年1月3日 1時
