バカ ページ17
玲於side
いつもの帰り道に今日は影が二つ。
散歩付き合え、なんて嘘ついてメールをした。
本当は散歩じゃなくてダンスの帰り道。
Aから初めてメールがきた日。
あの日以来一人の帰り道が寂しいって思ってしまうようになった。
それと、最近何処と無く気まずい雰囲気のAとちゃんと話がしたくて、呼んだ。
メールではあんなに冗談言い合えるのに
「急にごめんな」
「別に…」
直接会うAの顔はいつも少し俯いていて。
謝るなんて佐野くんらしくないって、
気持ち悪いって、
軽口叩いてくれたらいいのに。
「あのさ、A」
「何？」
「俺バカだから分かんねぇんだけど」
まだちゃんとAのこと理解し切れなくて
「何か俺、気に障ることした？」
俺にできることは単刀直入に聞くことくらい。
ほんと気がつかえねー男だな、と思う。
それでもAが俯く理由が知りたくて。
パッと上げられた大きな瞳が揺れた。
久々にピッタリとくっついた目線に、時間が止まったような感覚が身体を襲う。
「違う、佐野くんは悪くないの」
ハッキリと、Aの目が、口が、
「私の問題なの」
そう俺に伝えた。
「最近、感じ悪かったよね、ごめん」
ごめんって言葉が
これ以上は聞くなって言ってるようで
なんだか悲しくなった。
それは、俺には言えないこと？
俺のせいじゃないのに俺の前で俯くの？
本当に、俺のことじゃないの？
さっきはくっつきそうなくらい重なっていた目線がまた合わなくなって
なんだか悲しそうな顔のAを見てたら
「ちょっとカバン持ってて」
Aにエナメルバッグ手渡して
「えっ？」
気づけば数十メートル先の公園に向かって走り出していた。
慌ててAが俺を追いかけてくる足音が聞こえる。
練習後の全力疾走に足が悲鳴をあげている。
でも
俺、バカだから、
身体がやめろって言っててもきけないし
バカだから
気の利いた言葉の一つも思いつかなくて
それでも
何でか分かんねーけど
Aを俯かせる理由があるなら
上を向く理由を俺がつくってやりたいって。
ただただ
そう思って走り出した。
誰もいない公園のベンチに置いたiPodにスピーカーを繋げて、近所迷惑にならない程度に音量を上げた。
Aの悩みは解決できなくたって
「急になんなのっ………」
「ちゃんと見てろよバーカ」
元気になる手伝いくらいは
俺にだってできるだろ？
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ど根性みかん - このお話凄く大好きです！読んでいて切なくなります。早く続きが読みたいです！これからが楽しみです！ (2019年3月19日 22時) (
レス) id: c0b50274da (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - はすおさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言っていただけるなんて、涙が出るくらい嬉しいです(；ω；)なかなか上手く重ならない二人ですが、あたたかく見守っていただけますと嬉しいですm(_ _)m(笑) (2018年2月13日 21時) (レス) id: 03a3cd796e (このIDを非表示/違反報告)
はすお(プロフ) - んーーー！！めっちゃ読み途中で｢心配｣読み終わったとこなんですけどちょっと好きすぎて！！最高です！！素直になれない玲於可愛すぎます｡｡｡主人公とのすれ違いに叫びそうになる｡｡｡素晴らしい作品ありがとうございます、これから続き読んできます笑笑 (2018年2月13日 19時) (レス) id: 2c6c075be9 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - かもめさん» コメントありがとうございます！！感動だなんてそんな…(；ω；) 勿体ないお言葉です(笑) これからも精一杯頑張りますので、よろしくお願い致します(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
きのぴお(プロフ) - ゆいさん» 温かいお言葉ありがとうございます(;_;) 続編ではもっと自然に現代に繋げていけるようなお話を考えていきたいと思いますので、読んでいただけますと嬉しいです(*^_^*) 勧めていただくのに恥ずかしくないような作品に頑張って作り上げていきたいと思っております(*^_^*) (2018年1月25日 20時) (レス) id: b8deaede14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのぴお
| 作成日時：2018年1月3日 1時
