金木犀08 ページ8
｢潤は総務じゃなくて企画の方が合ってそうだったからさ。智くんのところのチームに入れてもらえて本当良かったよ。ビシバシ扱いてやってね｣
｢や、もう俺がビシバシ扱かれてるよ｣
｢あはは、熱い男だからな｣
そろそろ戻るかつって、タバコを消して、翔くんと喫煙スペースから社内に入ると、LINEがぴこんと鳴った。
見るとニノからだった。
あれからなんとなくLINEが続いている。なんでもない、授業終わったーとか、今稽古中だよとか、ニノの日常を教えてくれる。
｢にやけてるよ｣
｢えっ｣
スマホをポケットに突っ込んで、隣をみると、翔くんが俺の顔をニヤニヤして見てた。
｢彼女？ついに智くんにも春が来たの？｣
｢あ、や、彼女じゃなくて。会社出てすぐにさ、コンビニあるじゃん？そこの店員と仲良くなって｣
｢あはは、本当にあなた誰とでも仲良くなるよね｣
｢そんなことねぇよ、友達翔くんくらいだよ｣
ぶうたれると、翔くんが大きい口開けて笑う。この人の笑い方はホント気持ちがいい。
｢10コ下の男の子なんだけどね、かんわいんだよ。演劇やってるらしくてさ、今度観に行くんだ。｣
｢あらやだ、大学生？犯罪じゃないの？｣
翔くんが手を口にあて、おどけてみせる。思うところはあったから｢えっ、やっぱり？｣て言うと、｢冗談だよ｣と言われた。
｢いいねぇ、演劇かあ。若い子が頑張ってる姿を見るのは元気もらえていいよね｣
｢いやそうなんだよ、そうなんだけどさ、なんか、おっさん通り越してジジくせぇ｣
｢そんなじいさんみたいに歩いてるあなたに言われたくないよ｣
ペタペタ猫背で歩いてるのを指摘される。そんなふうに話してるうちに、自分の部署に着いたから、また飲みに行こうって手を振って別れる。
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作者名：楽斗 | 作成日時：2021年11月6日 0時
