金木犀05 ページ5
土曜日。店の最寄りの駅で待ち合わせた。
コンビニの制服姿しかみたことなかったから、青のカーディガン羽織って、トップスとパンツを黒で合わせたニノは金髪と白い肌に似合ってて可愛かった。
｢若いねぇ、大学生って感じ｣
｢え、そう？｣
腕を広げてキョロキョロするから、可愛い。ダメだな、おっさんみたいだ。おっさんだけど。
｢大野さん、スーツで見るより小柄だね｣
｢え、そう？｣
俺はジーパンに黒の薄手のニットを着ていた。確かに、俺も私服姿を見せるのは初めてだった。
なんでもない話をしながら、駅から歩いて10分くらいの店に行く。カウンターしかない小さな店。もうずっと通っておるお気に入りの店だ。
｢お洒落な店じゃん。大野さんモテるでしょ｣
｢え、モテないよ｣
2人でビール頼んで、簡単なおつまみと、お肉とかの大皿を少し頼む。ニノに好きなの食べなってメニュー渡すと、里芋の唐揚げを頼んでた。
｢大野さんって、いくつなの？｣
乾杯して、お通しが来たあと、ニノが聞いてきた。行きしはにのを質問攻めして、俺のことは何にも教えてないから。
｢おれ？いくつに見える？｣
小松菜の出汁煮をつまみながら聞くと、あからさまな顔して｢うわ、めんどくさいな｣って言うから笑っちゃう。
｢31だよ。ちょうどニノとは10個違いだね｣
｢えっそうなんだ。もっと若いのかと思ってた。大野さん童顔だね｣
｢ニノなんて未成年に見えるよ…｣
ねぇ、仕事何やってるのか詳しく聞いてもいい？って聞かれたから、とりあえず名刺を渡してやった。
｢開発企画部…チームリーダーって、偉い人じゃん｣
｢や、偉くはないよ。リーダーってついてるだけ。俺のとこは5人のチームなんだけど、まあ名前の通り企画立案する実働部隊だね｣
｢へぇ…いつも忙しいの？｣
里芋のからあげとか、サラダが届くから、お代わりのビールを頼む。ニノのグラスはまだ半分くらいだった。
｢や、そうでもないよ、おれすぐ帰りたいタイプだし。会社の周年記念でね、新規事業立てていて、それで最近よく残ってる｣
｢へぇ、なんかかっこいいな…｣
｢やーニノの方が忙しい毎日だよ、だって稽古してバイトして家帰っても寝ずにゲームでしょ？ほんとに俺と一緒の24時間？｣
｢あはは、ゲームを忙しさに入れちゃダメだよね｣
ニノが笑ってビールをあおる。
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作者名：楽斗 | 作成日時：2021年11月6日 0時
