anthos/気象on (ページ31)

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青い胡蝶蘭06 ページ31

｢引かないでね｣

｢引かないよ｣

翔くんが笑うから、俺もつられて頬が緩む。

｢前にさ、コンビニの店員と仲良くなったって言ったじゃん｣

｢ああ、智くんの恋人ね｣

違うけど、って笑って訂正をする。

｢その子だったんだよ。夢に出てた子｣

翔くんの目が｢まじ？｣って、丸くなる。

見始めた頃は、毎晩のようにみていたから、翔くんに指摘されるくらい目の下にはクマができていた。
断片的な絵は、情報量も少なくてすごくストレスだった。

｢それでも、段々と見る間隔はあいていってさ、その頃にはわりと眠れてたんだけど、ある日残業してる時にタバコ買いにコンビニにいってね｣

ついでに軽食代わりのサンドイッチを手に取ってレジに置くと、店員が｢いらっしゃいませー｣って覇気なくいいながらレジに通す。

俺より眠れてないのかなと思うくらい肌が白くて、華奢だった彼を見た瞬間、心臓の裏側がゾワッとするような浮くような感覚があった。

｢前に話した時にも言ったけど、ぼんやりとした夢だったから、同一人物だって見て判断できるほどじゃなかったんだけどさ、なんか、絶対この子だと思ったんだよね｣

翔くんは黙って相槌を打つ。

少し、夢より年齢が若いかもしれない。
童顔のおかげでまだあどけなさが残るから大学生くらいだろうと思う。

にのを初めて見た時の衝撃は今でも忘れられない。