エレモフィラの銀色12 ページ24
あんまり意味がわからなかった。
大野さんから発せられたのはとっても簡潔なわかりやすい日本語だ。かの有名な文豪が和訳した回りくどい言い方でもなんでもない。
でもだってさ、考えてもご覧よ。おれたちはまだ仲良くなって1ヶ月くらいしか経ってない。
だからなんというか、悔しかった。
俺は大野さんを好きになって、声をかけることも我慢してたのに、大野さんは俺ができなかったことをいとも簡単なことのように、なんでもないように、ひょいっとこなしてしまう。
ずるいよ、そんなの。
ひねくれた俺は、大野さんの気持ちを真っ直ぐに受け入れることが、素直に喜ぶことが出来なくて。
なんて言おう、
なかなか返事をしない俺に、大野さんがふにゃっと眉を八の字にして｢ごめんね｣と言う。
謝って欲しいわけじゃない。
大野さん全然悪くないもん。
俺に触れてる大野さんの手に俺の手を重ねると、大野さんが嬉しそうな顔をして、俺の手を握る。
｢おれも…大野さんのことが好き｣
1度伝えると、溢れるみたいだった。
｢…大好き…｣
｢うん｣
｢でもね、分かんないの…｣
俺は、なかなかこの気持ちは、吐露しちゃいけないものだとおもってた。大野さんの好きと俺の好きが、同じものなのか、自信がなかった。
｢…最近ね、ニノの夢ばっかみんの｣
｢おれの夢？｣
うんって大野さんは頷いて、なんて言おうか整理してるのか、ちょっと上の方を見てる。
｢知らない場所なんだけど、ニノが、ちょっと雰囲気も違うんだけとね、ソファに座って、笑ってるんだけど泣きそうな顔をして、俺を見てるんだよね｣
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作者名：楽斗 | 作成日時：2021年11月6日 0時
