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エレモフィラの銀色11 ページ23
｢嫉妬したのは本当だよ｣
帰り道、大野さんはまた俺の家まで送ってくれるって言う。俺も成人男性だからっていうと、ニノと喋りたいだけだからって返される。
もうなんなんだよこの人って思ってると、徐に大野さんが口を開く。
｢だからニノに会いたくなった｣
｢…大野さん？｣
俺が名前を呼ぶと、大野さんは少し困ったみたいに眉を八の字に曲げて微笑む。
｢…なんか、さっきの、西畑くん？だっけ、みてると焦っちゃって｣
相変わらず肩と肩が触れ合うくらいの距離で歩く。俺も大野さんも猫背で同じくらいの背丈だから、なんか遠くから見てると兄弟みたい。
｢前にね、ニノが可愛くて仕方がないって言ったでしょ｣
｢うん｣
｢最初は、なんだろな、年の離れた弟ができたみたいな気持ちに似てたんだけど、今はもっと形が変わってる気がするね｣
｢……どんなふうに？｣
少し声が上擦った。
｢ニノの演技見てさ、もしかしたら主人公役の人の事好きなのかなって思った時は、そんなの絶対嫌だなって思ったし、西畑くんを見てると、これからああいうファンの子にニノは囲まれていくんだろうなと思うと、先に捕まえときたくなった｣
大野さんが立ち止まって俺を見るから、俺も釣られて立ち止まる。大野さんの手が壊れ物を触るみたいに優しくおれに触れる。
綺麗な手。おれのハンバーグみたいな手と違って、男らしく筋張ってて彫刻作品みたいな手。
｢ニノ、俺のにならない？｣
｢お、のさん｣
｢おれ、ニノが好き｣
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作者名：楽斗 | 作成日時：2021年11月6日 0時
