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エレモフィラの銀色10 ページ22
西畑くんが、大野さんにもペコペコ頭を下げてお礼を言う。
｢お時間いただいてありがとうございます！｣
｢んはは、いや、話せた？｣
｢はい！二宮さんまた連絡します！ありがとうございました！｣
西畑くんがパタパタ飛んでいくように去っていくのを、大野さんがニコニコ笑いながら見る。
｢すごいね、あの子。ニノを見る目がキラキラしてたよ｣
｢生きててくれてありがとうって言われちゃったよ｣
ふふって思い出し笑いしてお互いコーヒーを飲む。
｢でも、あの子みたいに、ニノに魅せられる子がこれからもたくさん出てくると思う｣
おれもそうだしね、と大野さんが笑う。
俺の演技を初めて見た相葉さんは、ニノは絶対このまま演劇続けた方がいいって言ってくれた。演劇で入った大学だけど、やっぱり無難にリーマンやってたほうがいいのかなって悩んでた時だった。
｢…俺のね、大学でできた唯一の友達がさ、俺が演劇辞めようか悩んでた時にね、言ってくれたの。続けた方がいいって｣
｢うん｣
｢その頃は、その友達は褒めてくれたけど全然下手でさ、…大野さんや、さっきの西畑くんにこうやって言って貰える日がくるとは思ってなかったな…｣
少し感傷的になってしまう。まだ明日あるのに、まだ事務所に声掛けてもらってないのに、なんか、なんだろうな、やってて良かったなって気持ちになってしまっている。
｢ありがとう｣
改まって言うと大野さんがふにゃって笑って｢おれもありがとう｣っていう。
｢生まれてきてくれて｣
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作者名：楽斗 | 作成日時：2021年11月6日 0時
