glass flower

きいろ2 ページ23

クリスマスイヴ。
今日は昼一回公演後に、音楽番組の収録があった。

舞台が終わって、朝から最悪だった体調はここにきてピークを迎えつつある。寒くて怠い。
この間、アウターも着ずに雨風に当ってたのが原因なのは明白やから、自己嫌悪しかない。


「廉、大丈夫？」
「…大丈夫」

自分で言って白々しい。
肩で息をしてるんがダサすぎる。
海人は頑な俺にタジタジして、それを見かねた神がやってきた。

「廉、さすがに見過ごせないんだけど」
「熱、測れよ」

岸くんまで寄ってきて、脇に体温計を挟まれた。

玄樹が休んでる時に、自分まで穴を開けたらファンが動揺するやん。
アホしたんは自分やから、ほっといてや。
なんて言葉にするのも億劫で、されるがままでいた。

「……廉、とりあえずマネージャーに相談しよ？」
「いやや」
「廉っ」

こういう時、意外にリーダーらしい岸くん。
海人も神も岸くんの味方。
そらそうや、インフルの疑いあるような熱やもん。


でも、


俺は今、あいつの声を待ってる。



「いいんじゃない、廉の好きにさせてやろうぜ」


ほら、


あいつは必ず味方してくれる。


「そのかわり、絶対倒れんなよ」


強い目で、励ましてくれる。
逞しい背中で支えてくれる。

その包み込む優しさ。
その揺るがない芯の強さ。


紫耀がいて、ここまできた。


ずっと隣にいたんや。


嫌いになれるわけないねん。
好きであることを辞めることもできへん。


なのになんでやろうな。
紫耀と両想いってわからんかったんわ。






「じゃ、みんな着替えようぜ」
「…リハ終わったら、マネージャーに相談する
からな！」


岸くんはちょっと怒ってて、神がそれをなだめる。
俺は海人に助けられながら純白のお馴染みの衣装に着替えた。


「我慢できなくなったら、寄りかかってね」


優しい海人は涙目で、俺の手をぎゅっと握ってくれる。ほんま、優しいよな、海人は…。


お前の優しさに甘えて、
でもけっきょく紫耀が好きなんて。


俺、最悪やん。


ほな、そういうことで！ってお前と別れることなんて出来へんよ。



「明日はクリスマスやな…」
「ホワイトクリスマスになるんだって！」



海人…



俺は海人を幸せにできるんかな？









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進まなーい！

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