glass flower

うそつき2 ページ2

「れーん！」
雑誌撮影の終わり、海人がまとわりついてきた。海人の、見た目に反した逞しい腕に抱き込まれ、身体の自由を奪われる。
「歩いてる時に危ないやろ！」
「廉とイチャイチャしたいんだもーん」
「俺はしたないわ」
「そんなこと言って〜、廉くん嬉しいくせに！」
どこからくるねん、その自信。
ニコニコとする海人を見てるとあしらうのもめんどくさく、塩対応を貫いた。

楽屋に戻ると紫耀と神が話をしていた。
イツメンで食事に行くらしい。
ええな、と耳から入ってくる情報に嫉妬した。


仕事での立ち位置が明確になるにしたがって、プライベートでの距離は離れていった。
特に東京にきてからは完全にわかれた。
上手くいっていないわけやない。
けど、物理的にできてしまった距離は、写真撮影以外ではなかなか縮まらなかった。


紫耀と神が連れ立って楽屋を出て行く。
「また明日な」
「おう」
一言紫耀と話すだけで、胸がドキドキした。
単純に嬉しい。

こんな思いを抱えて誰かと付き合うんか？
それ、相手に失礼やん。
できるわけない。
そりゃ、女の子と一晩の付き合いはしてるけど。

普通に付き合うんは無理やよ。
しかも男とか…。

悶々としていると、また背中に温もりを感じた。
「れ〜ん」
「なんやねん」
「今日一緒に遊ばない？」
「ヒマか」
「失礼な！岸くんと一緒にしないでよ！」
「俺をディスるのやめてもらえます⁉」
帰り支度をすませた岸くんが、海人にエルボーをくらわせる。
わちゃわちゃと平和な時間。

いい加減、紫耀への思いは無くさないかんよな。
グループが、1番大事やもん。

「ええよ、海人行こうや」
「ほんと⁉やった！」
俺に断られると思っていたのか、飛び跳ねて喜ぶ海人。犬みたいや。
「誘ったからには海人が奢れよ〜」
「え、じゃ、ファストフードでいい？」
「俺ら飲めんしなぁ、あ、カラオケにしようや」
「うんうん！朝までコースだね！」
「日付変わる前に帰りまーす」
「れ〜ん」
泣き真似する海人が面白くて、からかいながらカラオケ店を目指した。

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