盲目の盗賊 ページ28
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フチの甥「襲われた時にラッチャコの灯りで姿を見た者がいる。」
フチの甥「そいつら盗賊をまとめている親玉の身体には奇妙な入れ墨がある。」
奇妙な入れ墨...
もしかすると入れ墨の入った脱獄囚の内の...
杉元「盲目の盗賊たち...」
杉元「親玉は網走監獄囚24人のひとりか?」
アシㇼパ「白石、何か心当たりはあるか?」
白石「ああ、噂には聞いてるぜ?」
白石「おそらく手下の盗賊も全員網走監獄の囚人たちだ。」
白石「暗号の刺青持ちは親玉ひとりだけどな。」
入れ墨が彫られている人は親玉ひとりだけ...
他にも仲間がいるとなると大変だ
キロランケ「そんなに盲目の囚人がいたのか?」
白石「そいつらは硫黄山で苦役させられた囚人だろう。」
白石「現在地の塘路湖から北へ約60キロ、摩周湖と屈斜路湖の間に硫黄山がある。」
『アトゥサヌプリ...』
インカㇻマッ「
白石「そこに派遣された囚人は無事に戻って来れないと噂されていた。」
白石「でもな...辺りから絶えず吹き出す亜硫酸ガスってのは採掘者の目を侵すんだ。」
白石「硫黄採掘に駆り出された囚人たちは失明する者が続出したんだ。」
白石「明治29年に囚人の採掘が中止されるまで、たった半年間で42人もガスで死んだそうだ。」
白石「盗賊の親玉はその時の生き残りさ、失明してからのっぺら坊に入れ墨を彫られた。」
白石「その男の名は都丹庵士。」
都丹庵士...
盲目の盗賊たちを率いる親玉...
白石「硫黄山は明治29年に閉山されたはずだが、最近また密かに操業再開されていて...」
白石「鉱山の経営者に犬童典獄が囚人を貸し出して働かせている。」
白石「俺が網走監獄にいた頃は失明した者だって戻って来なかった。」
白石「硫黄山で殺されたんだ。」
白石「おそらく都丹庵士の手下どもは最近、殺される前に硫黄山から逃げた囚人だろう。」
目が見えないけど闇の中を駆け回る事ができる
逆に夜でなければすぐに見つかってしまうけど...
それでもアイヌや他の人が被害に遭っていることに変わりはない
杉元「明日、そいつらを取っ捕まえに行くぞ。」
白石「って事は屈斜路湖に行くのか。」
屈斜路湖へ...
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-翌朝-
私たちは塘路湖のコタンに別れを告げ
北へ60キロ移動し屈斜路湖へ向かう
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作者名：檜枝 | 作成日時：2020年5月25日 23時
