飛蝗 ページ17
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白石「どうるす!!どこに逃げる!?」
杉元「あの番屋に避難だッ!!」
私と白石さんと尾形さんは
杉元さんが指をさす方を見る
杉元さんが指をさす方にはバッタの大群を凌ぎきれる番屋があった
杉元「イナンクルさん大丈夫!?走れるか!?」
『はいいいッ!!』
うずくまってる私は杉元さんの手を取り
そのまま番屋まで走る
服や肌に噛みつくバッタの大群
耳元でブンブンという嫌な羽の音が聞こえる...
杉元「イナンクルさん大丈夫?」
『うぅ...怖い...』
杉元「おい尾形!!」
尾形「なんだ。」
杉元「イナンクルさんを入れてやれ。」
尾形さんは私を外套の中に入れてくれた
外套に包まるとバッタの羽の音が軽減され
かじられることもなくなった
杉元「大丈夫?イナンクルさん。」
『はい!!』
杉元「もうすぐだから!!」
白石「イタタッ!!杉元早く!!」
-番屋-
杉元「谷垣か!!」
谷垣「ああ!!」
杉元「チカパシは?」
谷垣「村へ戻ってる。」
谷垣「それより... インカㇻマッが近くにいたはずだが...」
杉元「死にはしねえよ、早く入れッ!!」
番屋の前で谷垣ニㇱパと合流し
私たちは番屋の中に閉じこもった
杉元「あ痛たたた...」
白石「いったい何が起こってるんだ!?」
尾形「飛蝗ってやつだ。」
尾形「洪水やらなんやらで条件が重なると大発生する時がある。」
尾形「こいつら集団で飛び立つと何十キロもの距離を移動して海だって越えちまう。」
尾形「移動した先々では農作物はもちろん草木は食い尽くされ、家の障子や着物まで食われる。」
尾形「北海道では明治初期から何度か大蝗災が起こって、屯田兵もバッタ退治に大砲持って駆り出されたそうだ。」
尾形「第七師団じゃ語り草になってる。」
軍人さんが退治に武器を持って駆り出されるほどだ
本当にこの大群は危険だ...
白石「通り過ぎるまでどんくらいかかるんだ?」
白石「ハラ減ったぜ...」
杉元「アシㇼパさん大丈夫だろうか...」
アシㇼパ...
恐い思いをしてないといいけど...
ううぅ
窓ガラスにバッタが...
『オンネ シペシペッキ...シトマ...』
尾形「おい、いつまで包まってる。」
『すみません...』
私は尾形さんの外套から出た
杉元「髪の毛ボサボサになっちゃったね。」
『そうですね。』
私がボサボサになった髪の毛を整えようとマタンプㇱを取ると、杉元さんが私の髪の毛を手で整えてくれた
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作者名：檜枝 | 作成日時：2020年5月25日 23時
