それぞれの思い ページ46
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キロランケ「傷が増える前の顔が気に入ってたのかな?」
白石「たしかに、もともとモテそうな顔ではあるよな〜」
モテそうな顔...
杉元さんはかっこいいお顔だしとても優しいお方だから...
だからアシㇼパは杉元さんのお顔にそれ以上傷を増やしたくなくて、丁寧に薬を塗っているのだろうか...
白石「さすがに結婚はしてないんだろ?」
白石「地元に
杉元「...」
杉元さんは黙り込んでしまった
白石「あれ?否定しないね?」
白石「ひょっとして金塊が欲しいのもその女が関係してんのかい?」
キロランケ「白石、もういいだろその話は。」
金塊が欲しいのはその女性のため...?
そうだとしたら理由が何であれ1人の女性のために危険を冒してまで金塊を探しているなんて...
とても杉元さんらしい....
『ひとりの女性のためにここまで尽くせるなんて...』
『杉元さんはステキですね。』
杉元「イナンクルさん...」
きっとその女性も杉元さんの事が...
白石「なんだ?杉元照れてるのか?」
杉元「...」
杉元さんは帽子の鍔で顔を隠した
私も杉元さんのような方に出会えるのでしょうか
お互いを支え合っていける存在...
コタンにいる同じ歳頃の女の子たちは皆
旦那さんがいて毎日が楽しそうだった
私にもいつか...
キロランケ「イナンクルの婿は俺が決めてやっても良いんだぞ?」
『キロランケニㇱパが?』
キロランケ「網走へ行って目的を果たしたら、コタンに戻って見合いだな。」
お見合い...
杉元「イナンクルさんの婿は俺も決める。」
『えっ?』
杉元「イナンクルさんには幸せになってもらわないと。」
幸せに...
今のままでも充分幸せなのに...
これ以上幸せを求めてしまったら
罰が当たってしまうかもしれない
キロランケ「こりゃあ杉元が認めた奴じゃないと婿になれないな。」
白石「杉元が認める奴なんてこの世にいるのか?」
キロランケ「できることなら俺が死ぬまでには現れてほしいな。」
そんな大袈裟な...
杉元「イナンクルさんが幸せなら俺は誰でも...」
『フフッ...私は充分幸せですよ?』
キロランケ「可愛いヤツだな!!」
白石「イナンクルちゃんは笑った顔が一番良いね。」
笑った顔が一番...
嬉しい...
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作者名：檜枝 | 作成日時：2020年3月9日 22時
