第31話 題名考えるの飽きましたﾄﾞﾔ ページ8
ぼんやりとした意識が徐々に覚醒し、ズキズキと痛む頭を押さえながら無理矢理起き上がる。妙にさらりとした手触りに疑問を抱いていると、長い髪が頬を横切る
清潔感のある真っ白なベッドと消毒液特有の刺激臭にここは保健室なのだと気づく
「目が覚めたかい」
優しい声のする方へと目を向けると小さな老婆が椅子に座りこちらを見ていた
懐かしさを覚えながら「お食べ」と渡された飴玉を有難く受け取る
包装を破り黄色の球体を口に入れると爽やかな柑橘類の味が広がる。どうやらレモン味のようだ
寝起きの頭がはっきりしてくると、気を失う前の出来事が思い起こされる
自分のした行動を思い出して、少し小さくなった飴玉を噛み砕いた
「覚えてるかい、お前さん0ポイント敵に潰されて頭から出血してるんだよ」
妙な手触りは包帯だったらしい。疑問が一つ解けた
これだから止めとけって言ったんだ、とブツブツ文句を言いながら老婆はチラリと扉を見ると、外にいるらしい人物に声を掛ける。遠慮がちに扉が開いた
入ってきたのは相澤であった
隣にある椅子に腰掛けると、充血した目で雪を睨んだ。全身に包帯も巻かれているため、相手が幼児ならば泣き叫んでいただろう
少しの沈黙の後に相澤は口を開いた
「正直、除籍にしようかと思った」
突然の言葉に目を見開いたが、どこかで納得している自分もいた
あの時の雪は傍から見れば自ら命を落とそうとする者としか映らなかったのだろう。助ける為に自分を犠牲にすることはこの超人社会で美徳とされているが、それでもヒーローとして身代わりになるような行動はするべきではなかった。
相澤が言わんとすることが分かるからこそ、雪はボソボソと文句を言うことしかできなかった
「なら、見過ごすべきでしたか？冗談でしょう。私の目指すヒーローはそんなのじゃない」
「見過ごしてたらすぐ除籍にしてたよ。でも、お前がとった行動を最善策とは言えない」
正論を返され何も言えなくなると、横から深い溜息が聞こえた
「でもな、あの時咄嗟に助けようと動けていたのは神切だけだった。」
まだまだ伸び代はあるよ
そう言い残すと相澤は立ち上がる
除籍されなかったことに驚きを隠せずにいると、甘い男さね、と老婆がぼやく
ゆっくりと閉まった扉を眺めていると、次の瞬間バンッと音を立て扉が開いた。
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ROCK Down LOVE(プロフ) - 箱さん» 素敵だなんて！！ありがとうございます！今月の22日辺りに再開する予定なので気長にお待ちください！ (2022年12月8日 19時) (
レス) id: 5591b512d9 (このIDを非表示/違反報告)
箱 - ステキな作品を書いてくれてありがとうございます (2022年12月7日 18時) (レス) id: e97eef8072 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Rock down Love | 作成日時：2022年10月3日 17時
