王の虎 (ページ2)

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人型に戻った白き虎の口元は、先程の熊の血に汚れていた。

赤い髪の幼子の斜め後ろで、今は先程倒した熊の様子を、

黄金に輝く瞳で見ている。

ロ｢．．．シャンクス、そのお友達とは、一緒にいたいか？｣

シ｢！！うん。｣

レ｢！｣

ロ｢そうか．．．｣

レ｢おい、ロジャー、｣

ロ｢ここはルスカイナ島だろ、レイリー。
凡そ子供のいるような場所じゃねぇ。それに、大事な仲間の恩人だ。｣

レ｢．．．仲間にすると？｣

ロ｢聞いてみるか！！｣

レ｢はぁ．．．｣

ロジャーと呼ばれる大きな男が、小さな子の前にしゃがむ。

ロ｢．．．お前、名前は？｣

『．．．．．．．．．いみご。』

レ･ｸﾙｰ｢｢ッ！！？｣｣

ロ｢！！
．．．そりゃ名前じゃねェな。｣

『？』

ロ｢んー、俺たちと来るか？｣

『．．．．．．？』

ロ｢この島を出て、俺たちと旅をするんだ。海賊だけどな。｣

シ｢いっしょにいこ！！｣

『いっしょ、いく．．．？』

ロ｢おう。行くか？｣

レ｢この島から出るんだ。船に乗ってな。｣

『．．．．．．しまながし？』

ロ｢！？違うな。｣

レ｢どこで覚えたんだ．．．｣

シ｢いっしょにいるんだ！みんなと！！｣

『．．．いし、なげる？』

レ｢．．．ここにいる誰も、君に石を投げはしないさ。｣

『．．．』

小さな人の子が、周りにいる人間を見渡す。

その目はどれも、慈しみに満ちたもので、その小さな人の子が、

たった五年生きた中で、記憶にもない、3年ぶりのものだった。

幼子はその目に、言葉に、不快感や恐怖は全く覚えなかった。

ロ｢俺たちと行こう。仲間になれ！！｣

差し出された大きな大きな手に、幼子はその手を迷わず重ねた。

ロ｢よし！
名前、どうすっかな．．．｣

レ｢．．．．．．A、とでも呼ぶか？｣

ロ｢おぉ！良いなそれ！！
お前は今日からAだ！よろしくな、A！！｣

『．．．．．．A．．．』

シ｢Aー！！｣

レ｢まずは洗って新しい服を繕うか．．．｣

ギ｢髪も切って整える方が良いだろうな。｣

かくしてAは、ロジャー海賊団の仲間入りを果たしたのである。