06‐■Over care ページ6
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「失礼しまぁす……」
「座れ」
不機嫌な足取りで、マレウス様は私を寮長室へ通す。
マレウス様と二人きりは緊張するんだよなぁ……。
「あ、あの、マレウス様…。私はどちらに」
「ここだと言っているだろう。早く来い」
「…仰せのままに」
彼が促すのは膝の間。
高尚で汚れなんて知らないだろうズボンをぽんぽんと叩き、私をそちらへ呼び寄せる。
こうなれば私は従うしかない。
仕方なしに膝にちょこん、と座れば、腰を引き寄せられて結局深くマレウス様と密着する形になってしまった。
…でも、いくら私が女だからってこうも過保護だといけない気がする。
「キングスカラーにも、お前に触れることを許したか?」
「はい?」
「こんな風に、髪や肩に触れることを許したのか」
「ひっ、ま、れうす様ッ!」
突然私の髪を掬った白くて冷たい手。
それに驚いている間に、次は肩にその高貴なお顔が乗せられ、ついに私は硬直した。
緊張と羞恥と恐怖で変な汗が出てきた。
出来れば早く離れて頂きたい。
「黙っていないで答えろ。アイツはどこに触れた?」
「あ、足、とか…ですかね…?」
「他には?」
「ひぇ、お、お腹です…」
「腹だと? 僕も触った事がないのに?」
マレウス様の怒りの着眼点は相変わらず全く分からない。
どちらかと言うと女だと知っている上でこうも遠慮も無しに触れてくるマレウス様の方が私的には許しがたい行為だけれど。
勿論単なる護衛の私はそんな大それた事マレウス様に言える筈もない。
「マレウス様、そんなに過保護にして下さらなくても平気です」
「僕が守らないで誰がお前を守る?」
「護身術習ってるので自分で守れます」
「男の力を見くびるんじゃない。危険な時は僕を呼べ。いいな?」
若草色の瞳がギラリと念押し代わりに私を睨む。
そんな怖い顔で睨まれれば私なんてネズミ同然だ。
私がその場で言えるのは「…はい」の二文字だけ。
「…それでは、失礼します」
機嫌を伺いながらのお説教(?)が漸く終わった。
扉を固く閉ざした後に、大きくため息を吐く。
「随分絞られておったのう!」
「うひゃあ!?」
背後からの突然の声かけ。
誰かなんて振り向かなくてもわかるけど、流石にびっくりした。
後ろを振り向けば、心底嬉しそうに飛び回っているリリア先輩。……子供か!!
(ほれ、吃驚したじゃろ!)
(不可抗力です!)
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小豆 -azuki- - とっても面白かったです!レオナさん大好きなので、二次創作でも本人らしい言動で書いてくださっていて読みやすかったです!私はゲームはこのお話のところまで行けていないので、ストーリーを早く進めたくなりました!面白い楽しいお話をありがとうございます! (2021年1月11日 2時) (レス) id: a6a087e4cf (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - あやかさん» あやか様、最後までご愛読ありがとうございました!この作品は残念ながらここまでです!後のお話は読者様のお好きな様に想像を膨らませて頂けると嬉しいです…!ウワァなんて嬉しいお言葉…身に染みます。ありがとうございます…! (2020年11月29日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - すごく面白かったです!!キュンキュンしましたー!続編なんてない…かなぁ…なんて。もう本当に、終わってしまうのが勿体ないくらいです!!もっと見たかったー! (2020年11月28日 0時) (レス) id: 674992aea4 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - ま。さん» コメントありがとうございます!その一言、心に染み入ります!感想聞かせて下さり感謝いたします!ありがとうございます(^^) (2020年10月26日 11時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
ま。 - 面白かったです! (2020年10月25日 22時) (レス) id: cd9d134222 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年6月30日 22時