第五十五 ページ7
夕「はぁ、緊張…する。」
その夜、自室の隅にポツンと座りそう呟いた。
昼時に送られてきた昌文君さんの文通りであれば、もうそろそろ呼びに来るはずだ。
今にも飛び出しそうな心臓の音に、あんな質問をしなきゃ良かったと後悔した。
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夕『……夜伽って何?』
驚きながら勢いよく此方を振り向く二人。
陽『……え?!まさかっ夜伽を知らないの?!!』
夕『う、うん。』
ありえない、と言うようにため息いた後、少し恥ずかしめに興奮気味に"夜伽"と言うものを教えてくれた。
順番や指名などで決まった方が大王様の夜のお相手をする事。一度のチャンスで懐妊すれ事が出来れば后にもなれるのだそうだ。
陽『だから、この後宮のみんながお呼ばれされるのを望んでるの。』
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先程の陽ちゃんとの会話を思い出す。
(い、嫌だよ。大王様と……あんな事するなんて、考えられない。第一私は漂が…)
と、あることを思いつく。
(そうだ、昌文君さんがこないうちに今から逃げれば!!)
勢いよく立ち上がり、扉に向かう。
だが、そんな私の思いつきは呆気なく無くなったのである。
扉を開けた瞬間、丁度目の前まで来ていた昌文君さんと鉢合わせてしまった。
昌文君「すまない、待たせてしまったか?大王様が待っている故少し急ぐぞ。」
夕「……は、はぃ。」
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基本、後宮へは男性は入れない。
だが、私の寝所は咸陽に来た当時と同じままなので後宮より少し離れている。
懐かしい道を通りながらある扉の前で止まる。
ギィ─と重そうな扉を開き、昌文君さんが中に入れと言った。
一歩一歩、歩く度に、心臓が飛び跳ねる。
そして、私が部屋に入った途端後ろでバタンと扉の閉まる音にビクッと肩を上げた。
寝台から此方をみる大王様と目が合う。
嬴政「何をしている。早くこっちに来い。」
そう言って自分が座っている寝所をポンポンと叩く。
(早く来いって、こっちの気も知らずに。そりゃ慣れてるよね、私だけ恥ずかしがってバカみたい。)
そんな事思い苛立ちながらも大王様から少し離れた隅っこに座った。
嬴政「何故そんな離れた所で?もっと近くへ寄れ。出なければ話しづらい。」
夕「…話?」
嬴政「昌文君から聞いてないのか?」
何が何だか分からないが、コクっと小さく頷いた。
すると、大王様は少し嬉しそうに言った。
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モモ(プロフ) - メッセージが続いてしまいごめんなさい。この作品のお陰でキングダムの漫画を読んでみよう!と思いました。これからも応援しています。次の更新がいつになるかわかりませんが、とても楽しみにしています。 (8月15日 22時) (レス) id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - すみません...。慣れていなくて先程、書き終わらないままメッセージを送信してしまいました。私は最近キングダムの映画を見てこの小説に出会いました。とっても大好きです!!作者様が今はどうかわかりませんが、私は今高校生で生活の息抜き、楽しみとして読んでいます (8月15日 22時) (レス) id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
モモ(プロフ) - はじめまして! (8月15日 22時) (レス) @page10 id: a95e8dfc3d (このIDを非表示/違反報告)
ままま - めちゃくちゃ面白いです。最近映画の最新作を見て、キングダム最熱しておりました。その折にこの小説に出会い一気に読んでしまいました。続きが気になりどうにかなりそうです。暑い日が続く昨今ですが、どうかお体には気をつけてご自愛のほどお祈りいたしております。 (7月31日 15時) (レス) @page10 id: c2c76806e1 (このIDを非表示/違反報告)
星の空(プロフ) - 心さん» ありがとうございます。これからも頑張ります(^^) (2022年9月23日 11時) (レス) id: 7bf82b942c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:星の空 | 作成日時:2020年3月21日 22時