教えて、結び方 2 (ページ13)

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長瀬 side

季節は冬になり、

深田は市内の公立高校に通うことが決まり、雫さんは雫さんの地元にある女子高に通うことが決まった

夏休みは頻繁に呼び出されたのに、冬休みには一切連絡が来なかった

おかしいなとは思ったけど、俺から連絡をする勇気もないし、連絡したら負けだと思ってしなかった

冬休み明けの始業式の日、

初めて雫さんと話した下駄箱に呼び出された

雫『竜生ね、私と向き合ってくれるって』

『…えっ』

雫『好きとかそういうのまだ分からないけど、雫の気持ちに答えられるように頑張るって言ってくれたんだ』

その笑顔は、初めて見た雫さんの笑顔と重なって

ああ、純粋に笑ってる雫さんだなって

肩の荷が一気に下りた気がした

『高校別でしょ、いいんですか』

雫『うん、ほら、私ってあんまり女の子の友達いないじゃん？友達だって思える子が欲しくて、女子高なら出来やすいかなあって』

『そんな理由？』

雫『ちゃんとした理由だし』

それに、同じだとまた誰かのこと縛り付けちゃうかもしれないからって笑った雫さんを見て

縛り付けてるって自覚あったんだ、って

雫『高校生になるんだし、もう結星みたいに寂しさ埋めてくれる相手もいないだろうし』

竜生とは離れるけど、でもずっと竜生が好き

そう言って吹っ切れたような顔をするから

俺のあの時間なんだったんだろうって

消化しきれていない俺の気持ちは置いてけぼりだ

雫『私のわがままに付き合わせてごめんね？これからは自由に生きてね』

本当に悪いとは思ってなさそうで、だけどもう俺に対して何の未練も無いんだろうなって

というか、そもそも俺に未練を抱く以前に何も抱いていなかったんだ、この人は

呆れを通り越して怒る気も起きなくて

この人はこういう人なんだって思った

じゃあねって笑った雫さんは俺に背を向けて、二度と振り返ることはなかった

深田と雫さんが卒業してからの1年は、

あの年の出来事を忘れさせてくれるかのように楽しめた

連絡先も、俺が消そうとする前に雫さんの携帯が変わったのか、いつの間にか消えていた

高校は深田と同じだけど、純粋に高校で出来た友達といるのが楽しくて

もう雫さんのことを思い出すことは無くなっていた

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