教えて、結び方 2 (ページ9)

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8月の夕方の公園は、まだ明るいというのに誰も居なかった

長瀬「…今日は本当に、ありがとね、めちゃくちゃ楽しかった」

遊園地の時とは違って、トーンを落としたその声が

少し掠れてて、聞き心地が良くて

泣きたくなった

長瀬くんもきっと、これから私の話すことを分かっているんだろうな

ぎゅっと手を握りしめているのが横目に見える

言い出そうとしてるのに、怖くて、まだ言葉を発していないのに口元が震えた

数分の沈黙を破ったのは長瀬くんだった

長瀬「………雫さんは、俺の仲良しの先輩、深田の、幼なじみだったんだ」

って、ここまではもしかして深田に聞いてる？って

あの日深田先輩の手を取り走り出した私の姿を思ったのか、あの時しっかり話せた？って

そうだよね、長瀬くんにとって私の好きな人は深田先輩なんだから

「…うん、あの時何気初めて話したのかも、深田先輩いい人だよね」

長瀬「………そうなんだよ、深田いい人なんだよ」

ハハってから笑いして、いつかの自分と深田先輩を比べて苦しそうな表情をする長瀬くんを思い出させるかのような表情をした

「………後ろめたいの？」

長瀬「、えっ」

「ごめん、昨日たまたま雫さんと会って、少しだけ聞いちゃった」

私のその発言に、より一層苦しい表情をする長瀬くんに心が痛む

「私、長瀬くんがずっと何に苦しめられてるのか知りたい、教えて…ほしい」

長瀬「聞いたら佐々木さん、俺の事嫌いになっちゃうよ、」

って、まあ、深田じゃないんだし、気にするところ違うか、俺、って

また自嘲してハハって笑うから

「ならないよ」

長瀬「………ほんとかなぁ」

「本当だよ、ならない」

あなたと真剣に向き合いたいこと、伝わってほしいから

ジッと目を見て、どうかこの想い届いて

長瀬「……うん、ありがとう」

夕日に照らされて涙を浮かべる長瀬くんの横顔は、綺麗で儚くて、消えちゃいそうで

怖かった

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