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涼む場所に向かう途中で、あれ何で私今日海に来たんだ？という気持ちになった
まあ環ちゃんの背中を押してこの事態を招いたのは間違いなく私なんだけども
正直気まずい、織山くんと何を話せばいいって言うのだ
日陰の石段に座った織山くんの隣にさり気なく腰を下ろす
「あ、織山くん、何気初めましてだよね」
織山「そーだね、初めましてだね」
だよねえあははっ、なんて乾いた笑いをしてしまって焦る
ミステリアスで掴みどころのない人、織山くんの印象はそんなものだ
静かで大人しくて学校ではあまり目立たなくて
顔もいつも無表情のイメージだ
だけど、織山くんが唯一表情を崩す時がある
それは北川くんと一緒に居る時
ふとした時に見れる織山くんの笑顔に惚れる女子が多いだとか
そんなような話をこの前耳にした
織山「海来てるけど、なんかあんま楽しそうじゃないね」
「えっ？」
…………それは織山くんもなんじゃ、
織山「そっか、まあ俺もそう見えるか」
「えっ！」
織山「思い切り声に出てたよ、笑」
「ぁ、マジですか……ってえ、笑ってる」
織山「は？」
「あっ、いやっ、えと」
つい口に出してしまった
いやでも北川くんの前でしか笑わないと有名な織山くんが普通に笑ってたのだ
は？の圧はとんでもなかったけど
織山「俺だって普通に笑うし」
「…そうだよね、ごめん」
織山「いいよ別に、まあ実際、無駄に周りに愛想振り向かないし」
ああ、そっか、本当に素直な人なんだな
「織山くんって面白いね」
織山「は？」
また、は？だって
ちょっと怖いけど、喋り方は優しいし、表情も何だか柔らかい気がする
「自分に素直でいいね、なんかかっこいいかも」
織山「…………あ、そ」
ミステリアスで掴みどころのない人
そんな風に思っていたけど、実際はそんなことないのかも
そう思ったら何だか全然話しやすい
「織山くんも海とかあんまり好きじゃないでしょ？」
織山「好きじゃないよ」
「でも北川くんと一緒だから来たの？」
織山「そーだね、拓実と来るならどこでも楽しいからね」
北川くんの話になるとより一層優しい表情になる織山くん
2人の間にはとてつもない信頼の絆があるんだろうなと感じた
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作者名：na | 作成日時：2022年5月21日 18時
