検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:281,509 hit

ページ26

















今でもお互いに本を貸しあったり、感想を言い合ったりしているけど、





それはいつもポストの中でだけだったから、









こうやって顔を合わせるのは、本当に久しぶり。









健「あ、そうだ、片づけてないんだった」









おじゃまします、って小さく言って、健人さんの部屋に入ると、


机の上に分厚い本が何冊か置いてあって、


その周りの床にも、何冊か本が開いた状態でそのままになっていた。









健「ごめん、ちょっと片づけるから待ってて」


「すいません、突然お邪魔しちゃって、」









こっちの声が聞こえていないのか、ザザーッっとか、ドサッとか、さまざまな音を立てながら、てきとーに本たちを端に追いやっている。









健「よし、こんなもんか。
  おっけ、ここ、座ってて」









健人さんが台所に行っちゃって、私は素直に机の前に座った。









この前来たときとあんまり変わってない部屋だけど、健人さんが何冊も広げていた本が気になって、せっかく端に寄せてくれた本のところを覗く。









「えッ?分厚い.........」









そこには、あまり見慣れないタイトルの本が積まれていた。









『法律用語大辞典』とか、

『どんどん身につく六法』とか、



あとは、『刑法の基本を学ぶ』なんてのもあった。








そういえば、って思い当たることがあって、本棚の方も見てみる。









やっぱり、小説が並んでる棚の下の方には、法律関係の本がたくさん並んでいた。









確かに健人さんは、法学部だって言ってたっけ。









ちゃんと勉強もしてるんだなぁ、なんて一人で感心していると、




ふと、一冊の本が目にとまった。









ほとんど全部、本棚に並んでいるのに、一冊だけ別の棚の上に、


しかも表紙がこちらを向いた状態で立てかけてあった。









『虚ろな天秤』


もちろん、夏川浩子の小説。しかも、デビュー作である。









それを見て、はっとした。







そうか、これか。



だから、健人さんは.......。









そうだとしたら辻褄が合う。









知らなかった健人さんをまた一つ知ることができたなぁ、って思った。









・→←scene 14/side YOU



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (197 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
593人がお気に入り
設定タグ:中島健人 , SexyZone , リンゴ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:リンゴ | 作成日時:2016年5月21日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。