scene 14/side YOU ページ25
・
・
・
その日の授業は夕方頃に終わり、今日はバイトもないので家に帰るだけだった。
引っ越してからもう数週間は過ぎていて、夜もそこまで冷え込まなくなってきた。
なんだかこのままただ家に帰るだけなのが少しつまらなくて、帰り道にあるコンビニに寄ることにする。
そうだ、牛乳きらしてたんだった、なんて思い出して、飲み物の売り場に向かうと、
近くの「お酒コーナー」が目に入った。
20歳になったし、たまには一人で飲んでみようかな、なんて思って、比較的アルコール度数の低いものに手を伸ばす、と、
健「あれ?今日は飲むの?」
隣りで聞き覚えのある声がして振り向くと、そこにはやっぱり健人さんがいた。
「びっくりした!」
健「どうも、こんばんは。笑
あれ?Aちゃん、未成年じゃなかった?」
「ッ!失礼ですね!20歳です!!」
健「ごめん、ごめん、冗談。笑」
ふふッ.....って笑う健人さん。
最近あまり会ってなかったせいか、健人さんが5割増しでかっこよく見える。
健「今日は俺も飲もうと思ってたんだよね」
そう言って、目の前のビールを何本かカゴに入れる。
男らしい。笑
健「Aちゃんはどんなのが好き?」
「私はまだあんまり飲み慣れてなくて........。
だから飲むときは甘めのチューハイくらいですかね」
健「じゃあ、これ買ってあげる」
「え?悪いですよ、そんな!しかも、そんなに飲めない......」
健「そう?笑
じゃあ一本。」
ビールが入ったカゴに、小さい缶チューハイが一つ。
健「いつも俺が強引に貸す本、ちゃんと読んでくれるから、そのお礼ね。」
健人さんは、本を強引に貸してきたりなんてしない。
それに、私が読みたいから読んでるのであって、むしろお礼したいのはこっちの方だ。
「それなら、私が強引に貸す本をちゃんと読んでくれる健人さんに、このビールの肴をお作りしましょう。笑」
健人さんともう少し話したかった、とか、
一緒にいたかった、とか、
今はまだ、素直に言えなくて、
結局、こうやって、冗談交じりになってしまう。
・
593人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:リンゴ | 作成日時:2016年5月21日 23時