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scene 13/side KENTO ページ23

















1限から授業があるっていうAちゃんの背中を見送って、俺はいつものコンビニに向かう。






もちろん、朝はバナナが欠かせないからね。







それと、もうひとつ。









店員「いらっしゃいませ。いつもありがとうございます」









バナナをよく買うお客さん、ってことで覚えてくれたらしく、最近は店員さんがこうやって話しかけてくれる。









健「おはようございます」


店員「今日も例のバナナですか?」


健「はい、いつもお世話になってます。笑」


店員「いえいえ」









左胸についたネームプレートが他の人と違うから、多分この人は店長さんなんだろうなぁ、って勝手に思ってる。







じゃあ、ってその場から離れようとした俺だったけど、その店員さんの「あの.....」という声に振り向いた。






そしたら、周りをうかがうようにキョロキョロして、サササッと俺に近づいてきた。








店員「........この前の、あれで良かったんですよね........?」









その一言で、そういえばお礼を言ってなかったな、と思い出した。









健「ええ、本当にありがとうございました。疑われずに済みました。笑」


店員「そうですか。笑
  いや、あんなことしたの初めてで、すっかり緊張してしまったんで、あれで大丈夫だったかなぁ、と。」


健「バッチシでした。笑
  大家さんにめちゃくちゃ怒られましたけど。」


店員「ははは。笑
  ......でも、なんでまた、あんな嘘を.......?」









君と出会ったあの日。いや、正確に言うと、再会した日。






隣りの部屋に新しく誰かが引っ越してくることになって。









それで、たまたま通りを歩いていた俺は、駐車場にとめていた軽トラックから大きなダンボールを運んでる君を見て、









............本当に、心臓が止まったかと思ったんだ。









だって、君が、









あのときの本屋の店員だったから。









だから、次の日慌ててコンビニまで行って帰ろうとしたときに、駅の方から君が歩いてくるのが見えて、








どうしても、君に、俺のことを知ってほしくて、









咄嗟に、持ってた携帯と家の鍵をこの店員さんに渡して。









健「あとで取りに来るんで、預かっててください!!」









なんて言って、コンビニを飛び出した。








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作者名:リンゴ | 作成日時:2016年5月21日 23時

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