狗巻棘の元犬

元犬６匹 ページ7

狗巻side

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「私、狗巻棘はこの方、

狗又Aと契りを交わします」




『へ？？』





俺がそう言うとAも

周りの人たちも口を開けた








…正直、直前まで言うか迷ってた




だって、人生まだまだこれからでさ、


Aのことを本当に幸せにできるのは

俺じゃないのかもしれない



もしかしたらAはこれから

違う人を好きになるかもしれない




…まだ俺らは未成年で、

結婚なんか本来考えもしない歳で、

将来の約束なんてそんなの守れる保証もない




だけど俺ならそれができる

安易に縛ることができる

相手の将来を左右できる


これがどんなに怖いことなのかを

昨日改めて己の呪言の怖さを感じた





Aの将来を俺が縛っていいのかな、って









"愛ほど歪んだ呪いはない"






確かにそうだね、先生




俺はAが俺以外の誰かの隣にいるのが嫌だ

俺から離れようとするのも嫌だ

俺以外を好きにならないでほしい

ずっと俺を好きでいてほしい





子供みたいな、幼稚な醜い感情は

立派な呪いだなぁ…、なんて内心笑っちゃう






Aの気持ちちゃんと聞いてないし、

無理矢理契だって交わしちゃった






もう消えない呪印が左手の薬指に刻まれてる







…嫌われたらどうしよっか









……まぁ、でも不幸にはさせないから

ずっと俺の隣で笑っててほしいな



それじゃダメかな…

今更になって不安になってくるなぁ






「ここは私に任せて2人は行ってください」

「外に迎えに迎えは待っていますので」




「しゃけっ！」




『え！あの、ちょっと待ってくださ、！』








俺はAの手を引っ張って会場を逃げ出した




最後まで周りにいた人たちのアホ面、面白かったなぁ

とか思い出したりした









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