元犬12匹 ページ13
.
ブォオオオと煩いドライヤーの音
少しぶきっちょに触れる棘くんの手
顔に集まる熱い風
それがなんだか昔お母さんが
乾かしてくれた感覚に似てて目を閉じて身を任せる
『あちっ』
「高菜!?」
『大丈夫ですよ!髪長いと乾くの遅いですよね』
「しゃけ…」
ちょっとずつ乾いていく髪が少しもどかしい
まだ、もうちょっとだけ…
そう思いつつも髪は乾いたのか
煩い音が消えて、部屋が一瞬で静かになる
『あの!っ、』
振り向こうと思ったけど、
後ろから抱き締められて向けなかった
耳にかかる棘くんの息がくすぐったい
『と、げくん…あのね、』
「ツナ?」
.
『…もう、私は棘くんの従者じゃないんです』
『契りを交わしたからとかじゃなくて、』
『今日限りで実家に戻って京都校に通うつもりで、』
『だから、…黙ってたのも、勝手に決めたのも』
『……ごめんなさい』
俯いてポロポロとまた涙が出てきた
貸してくれたパジャマにシミが1つ2つとできる
『ごめんね、っごめんなさい…』
「…A、?こっち向いて?」
呪言で自然と棘くんに顔が向く
ポロポロと零れる涙を棘くんは掬いながら言う
「気にしなくていいよ、…そんなの」
「従者じゃ、なくても、俺は大丈夫」
「だって俺らもう、ね?」
そう言ってまた薬指に触れて、
「…その、簡単にもう離れられない、から…さ?」
照れて笑う棘くん
『へへっ、確かに…そうでしたね』
『私が気にしすぎなだけでしたね』
『ごめんなさい』
ごめんなさいって言い過ぎだと言われた
確かに謝ってばっかりだったかも
『じゃあ、ありがとう?ですかね』
「しゃけしゃけ」
『ふふっ、なんじゃそりゃ!』
気にしすぎたのは私だったみたい
従者って関係で棘くんとの関係を断ちたくないって
思ってたのは私だった
.
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saki - 穂波さん…好きだぁぁ!それと五条先生が言う青春って何か刺さる物がある…素晴らしい作品ありがとうございます!あわよくば続きが読めたらななんて… (11月5日 23時) (レス) @page13 id: 15ea9621b8 (このIDを非表示/違反報告)
k - 更新停止、、!?!?!?!? (2023年5月13日 1時) (レス) @page13 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
もるぷ - 前作と合わせて何度も読ませていただいてます。叶うのであれば、ぜひ続きが読みたいです。コメント失礼しました。 (2023年3月25日 7時) (レス) id: 475fdfb400 (このIDを非表示/違反報告)
棘くん好きすぎる - 更新する予定はないんですかね?面白かったので早く見たいのですが (2022年5月4日 1時) (レス) @page13 id: 8abf4c4eb8 (このIDを非表示/違反報告)
すずねこ - ァァァァァァァァァ、、、更新停止ィィィィッ(>ω<。)エーン (2022年2月13日 10時) (レス) @page13 id: 7959e43801 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いぬ | 作成日時:2020年12月22日 17時