狗巻棘の元犬

元犬４匹 ページ5

狗巻side

.



朝はAに起こしてもらう


5:30に自分で起きることは結局一度もなかった





別に起きれないわけじゃないけど、

ギリギリまで寝れるならそっちの方がいいし、

Aが起こしてくれるならそれでいいか、とか

適当な理由のつもりだった





だけど今思えば、

Aに起こしてもらいたかっただけだった





…従者離れしてないのは俺の方だなぁ







.






朝一の新幹線に乗って穂波さんと連絡をとる



いつもなら寝てるので出そうになる欠伸を堪える





「まぁ、別に大した作戦なんてないんですけどね」



「！？」



「いや、結局のところ狗巻様がどれくらい

あの子の事が好きなのかだけが問題かと」



「契りは重い呪いですので」









「…」




確かに、と

ぐぅのねも出ない



隣にいるAを見るとすぐに目が合う







クリっとした目だな


綺麗な飴色の瞳だな、とか






今までで別にそこまで意識したことないのに


急に色々見えて、顔が熱くなるのを感じる






熱じゃないか、と近づいてくるAの手を掴む





あれ、こんなに細かったっけ…


おんな、のこ……だな…





手を掴んだだけで色々考えてしまう自分が恥ずかしい


制服が顔半分隠れるようにしといて良かった






『折角の晴れの日なんだから体調悪くなったら

言ってくださいね？』






ってAが困ったように言った








何も知らないAの驚く顔が早く見たい


…怒るだろうか？







「しゃけ！」





大丈夫、きっと今日は成功する


と、笑顔で返した









.









「大丈夫ですよ」


「そうでしたか、いらない心配でしたね」









.

元犬５匹→←元犬３匹

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す