狗巻棘の犬

犬３２匹 ページ33

狗巻side


.


「いつも、どおりに」

『…うん』


どうせこんなとこ誰も近づかないから、

普段通りに接してほしかった



Aは横に座るだけで、何か言うわけでもなかった

でも俺はそれで良かった



犬にしてと言われたので、犬にすれば

布団に潜り込んでくるので少し動揺した



犬の、Aのふわふわした毛がくすぐったい

腕に顎を乗せてきて、本物の犬みたいだと思った



犬の姿だからなのか、冷えていた布団が

一瞬で暖かくなって心地良い



なぜかそれが酷く嬉しくて、

目頭が熱くなるのを感じた



「(ありがとう…)」



こんな俺のそばにずっと居てくれてありがとう

そう思いながら頭を撫でた


一撫で、一撫でにありがとう、と思いながら




「?ツナマヨ…?」


Aの目から涙がポロリと溢れた気がした



ただAは、気にしないでと言ってるように

頭を横に振った




.




気づけばプスープスーと鼻息を鳴らしながら

Aが寝ていた





早朝からずっと起きていたから無理もない





「お休み」





今はゆっくりお休み









.


「ほのぼの」の「ほ」の字もなくてすみません

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