狗巻棘の犬

犬４４匹 ページ45

狗巻side

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Aに明日の出発時刻を聞こうと

部屋を訪ねたがいなかった


「こんぶ?」


たまたま恵がいたので聞いてみると、


「あいつ教室で寝てましたよ。

…折角なんで起こしてあげてください」


「しゃけ、すじこ〜」


礼を言って1年の教室に向かう


Aが教室で寝てるなんて珍しいこともあるもんだ

と思いながら足早に向かった



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廊下にAの声が漏れていた

その声が少し涙ぐんでいて、思わず足を止めて

盗み聞きをした



『私、わたしっ、…棘くんが好きだよ…っ！』


「！」



『伝えちゃダメで、っ…でも、

いつも言っちゃいそうで、うぅ…』



頭が真っ白になるってこうゆうことなのかな



廊下の窓から差し込む夕陽の眩しさも、

カラスの大合唱も、

目にも耳にも届かずただAの言葉が

ただ頭に中で永遠とこだましていた



「(…好き)」


最近ずっとこの気持ちの名前がわからなかった





Aを見ると嬉しい





他の誰かと一緒にいると苦しい

特に男子は






触れると熱くなる





名前を呼ばれると心が弾む







"好き"って言葉がストンと自分の中に落ちてきた


綺麗にハマったピースみたいに





…そっか、俺、Aが好きだったんだ

ずっと昔から






気づくのが俺はあまりにも遅すぎた


Aはずっと苦悩していたのに






俺は明日やらなきゃいけないことをするために、

再び寮に戻った







見合いなんてクソ喰らえ


俺はやりたいようにする






そう、五条先生の言葉を思い出していた








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