狗巻棘の犬

犬４１匹 ページ42

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部屋を急いで出た



『バレたかなぁ…顔に出てたかも……』



熱くなった頬を冷ますように夜風に当たりに外に出る





浮かんでた月はいつもより大きくて、

いつもより私たちを明るく照らしてて、

昔見た月を思い出した



『…昔に戻りたい』




柄になくそんなことを思うのです


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棘くんが好きだ

大好きだ

小さい頃からずっと大好きだ



小さい子は簡単に結婚しようなんて言う

そんなのが私だった



棘くんに直接言ったんじゃない、お母さんに言ったの





『大きくなったら棘くんとけっこんしたい!』


「…ダメよ、そんなこと棘様に言っちゃ」



『なん「蓋をしてね。友達として、従者としての

好きで止めておいてね。無かったことにしようね」



「…お母さんとの約束だよ?」



『…うん』





そんな約束という名の呪いを残して

お母さんは旅立った



当時の私には好きの種類なんかわかるはずなかった



でも、中学生の頃に自分の好きの種類に気づいた



できることならあの頃に戻って

気づかないままが良かったなんて最近よく思う




自分の気持ちを自分で否定するのは辛い

蓋をするのは難しい

最近はできやしない



『なんで、なんでっ…っ、

好きになっちゃったのかなぁ…?』




高専でいつもより一緒にいる時間が長くなったせい?


段々自分の気持ちが抑えれなくなってくのがわかった




声が少し低くなったとか、


手が大きくなったとか、


筋肉がついたとか、


伸びた髪が似合ってたとか、




『うっ…うぐっ…』




目を閉じたらいつも棘くんの好きな所ばかり思いつく






今日だって、好きだった






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明後日なんか来ないで？




ずっとこのままがいいよ神様






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明後日になったら私は棘くんから



本当に離れなきゃならない






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自分の気持ちに正直にはなれない








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『つらい、なぁ…』









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