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炭「鯉夏さん。」
炭「不躾に申し訳ありません。俺は“ときと屋”を出ます。お世話になった間の食事代などを旦那さんたちに渡していただけませんか?」
鯉「炭ちゃん…その格好は…」
炭「訳あって女性の姿でしたが、俺は男なんです。」
鯉「あ、それは知ってるわ。見ればわかるし…声も…」
炭「………えっ?」
鯉「男の子だっていうのは最初からわかってたの。何してるのかなって思ってはいたんだけど……」
鯉「事情があるのよね?須磨ちゃんを心配してたのは本当よね?」
炭「はい!それは勿論です!!嘘ではありません!!いなくなった人たちは必ず助け出します。」
鯉「……ありがとう。少し安心できたわ。私ね…明日にはこの街を出て行くのよ。」
炭「そうなんですか!それは嬉しいことですね!」
鯉「こんな私でも奥さんにしてくれる人がいて…今本当に幸せなの。でも…だからこそ残していく皆のことが心配でたまらなかった。嫌な感じのする出来事があっても私には調べる術すらない……」
炭「それは当然です。どうか気にしないで、笑顔でいてください。」
鯉「……私はあなたにもいなくなってほしくないのよ、炭ちゃん。」
炭「!!」ペコ
鯉「!!何か忘れ物?」
堕「そうよ。忘れないうちに喰っておかなきゃ。アンタは今夜までしかいないから。ねぇ、鯉夏?」
炭(まずい。殆ど日が落ちかけてる。早く伊之助の所へ…)ピクッ
炭(……匂いがする。甘い匂いが微かに…鬼だ!!鬼の匂いだ!近くにいる!!)
堕「鬼狩りの子?来たのね。そう。何人いるの?一人は黄色い頭の醜いガキでしょう。柱は来てる?もうすぐ来る?アンタは柱じゃないわね、弱そうだものね。柱じゃない奴は要らないのよ。わかる?私は汚い年寄りと不細工を喰べないし。」
炭(体…!!どうなってる…鯉夏さんの体が無い!!出血はしてない、血の匂いはしない…)
炭「その人を放せ!!」
堕「誰に向かって口を利いてんだお前は!!」ブオン
炭「ゲホッ!!」
炭(速い…見えなかった。上弦、手足に力が入らない…体が痺れて…)ハァハァハァ
炭(落ち着け!!体は反応できてる。そうじゃなかったら今生きてない。)
炭(あの鬼の武器は帯だ。人間を帯の中に取り込めるんだ。ということは、姉さんもあの帯の中にいるかもしれない!!)
堕「生きてるの。ふぅん。思ったより骨がある。目はいいね、綺麗。目玉だけほじくり出して喰べてあげる。」
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ミー - 更新を毎回楽しみにしています!猗窩座が主人公を見て、あの方の…と言っていたので主人公との間に何かあるのかと気になっています! (2020年7月22日 21時) (レス) id: 36dcb4ceb6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かの | 作成日時:2020年6月17日 0時