慈しい姉２ (ページ45)

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女「あっ、アンタ！！」

宇「京極屋の女将さん！どうしたんです？」

女「アンタ、Aと善子連れてきた奴だろ？」

宇「そうだが…どうしてだい？」

女「Aと善子がいなくなったんだ！！」

宇(！！まさか女将の方からこの話をされるとは…)

女「だけど、Aは足抜けをするほど困っていた素振りは無かった。もしかすると誰かが何かしたんじゃないかと思ってね。」

宇「その“誰か”というのには、何か心当たりが？」

女「ああ。蕨姫だ。」

宇(Aと同じことを言ってるな。)

宇「どうしてそう思うんです？」

女「実は…この前、アタシは蕨姫に殺されそうになったんだ。その時、蕨姫の姿は人間じゃあなかった。空中に浮いて、そこからアタシを落とそうとしたんだ。」

女「その時、たまたま通りがかったAに助けてもらったから、無事だけど…」

宇「そんなことがねえ…」

女「アタシにはどうしようもできないんだ。二人を蕨姫から助け出すことはできない。だから、アンタに頼みたいんだ。アンタ、強いだろ？」

宇「どうして俺が強いと？」

女「着物で分かりづらいけど、アンタなかなか筋肉がついてるだろ。アタシには分かるよ。何十年も女将をやってるからね。」

宇「なるほどねぇ。元から二人のことは助けるつもりだったんで、ご心配なく。ところで、京極屋には雛鶴もいたはずだが…どこに行った？」

女「雛鶴なら病気になって切見世に行ったよ。」

宇「分かった。教えてくれてありがとな！！」

女「Aたちのこと、頼んだよ！！」

蕨「鬼狩り……アンタと私…私たちは分かり合えないの？ねぇ、A。」

『…………』

蕨「アンタとは、ずっとこのままの関係でいたかった。でも、私が鬼なのはバレてるんでしょうね。」

『…………』

蕨「私がこんなにも誰かを好きになるなんて、初めてだわ。どうしても、アンタとは一緒にいたい。永遠に。」

『…………』

蕨「柱と鬼狩りを殺して、アンタも鬼にする。そうすれば、私たち、分かり合えるかしら？ずっと一緒にいられるかしら？」

『…………』

蕨「この帯の中で待ってて。絶対に安全な場所だから。誰にもに邪魔させない。」

蕨「鬼狩りをすぐに殺す。大丈夫よ。鬼になれば、すぐに鬼狩りのことなんか忘れられるから。アンタは絶対、鬼にする。」

『…………』

蕨「大好きよ。ずっと一緒にいよう。」