復讐少年？ (ページ46)

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四十二夜ページ46

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リカバリーガールがするどい目つきで俺を見る

｢少し、戸籍を見せてもらった…けどねえ。なんで『男子』として登録されてるのか。不思議でたまらないねえ｣

ごくり、と生唾を飲む

｢体の様子を見た時、体操服の下にタンクトップを着ていたね、ただそのタンクトップ。あんた胸を隠すのに使ってたんだろ？さぞ苦しかったろうに｣

だからか、体操服が緩くはだけていた

｢(はぁ、めんどくさい)｣

俺は重い口から、あの人にこういう時用の言い分けを貰ってる

｢…俺、生まれてくる性別間違えたんですよ。背格好も男勝りで、地声も低めでした。小さい頃からよく。男子に見間違えられました。そのことでいじめにあう時期もありました。｣

小さい頃の記憶なんてないけど、ない虚しさがいい演出をしてくれる

｢親…今、俺を育ててくれている人です。その人が無理に女子になることはないと言ってくれました。その人はある程度の権力を持っていて、その市役所の資料を書き換えさせたみたいです。｣

半分本当で半分嘘

真実と嘘を混ぜれば、わからなくなる

｢おかげで、中学からは地元から離れた学校に通って、『男子生徒』として過ごせました｣

｢着替えとかなんて、このタンクトップがあれば普通に上は脱げます。水泳は休んでました｣

ある程度の話をすると、なぜか悲しそうな顔をするリカバリーガール

｢……そうなのかい、でもあんたも女子なんだ。体を大事にしなきゃいけないよ？……ちなみに、このことを知ってるのは？｣

｢先生だけです｣

この一言を添えれば確実に他言無用になる

この人はそういう人間だ

わざとらしく微笑めば、頭を小突かれた

｢さ、もうすぐ閉会式だよ。体は？｣

｢歩くくらいなら、だいぶ動けるようになりました｣

行っといで、と言われて背中お押された

｢(弔さんに女子ってバレたって言わなきゃな)｣

と思いながら閉会式へ向かう

誰か本当の理由なんか教えるか

少しよろめきながら壁を使って進む

｢(あー、だるい)｣

歩けると入ったものの、足は重い

なんとか歩いてスタジアム近くまで来る

｢あーー！夜永くん！！｣

と大声を上げて俺の方へ駆け寄る芦戸

｢おー、A組どの辺？ついでに切島とかのあたり呼んでほしい｣

｢んーとね、向こうの端！っと待っててね、呼んでくる｣

てって、と小走りで向かっていく

するとすぐに切島がきた

｢(意外と距離あるのに早すぎかよ)｣

と内心ツッコむ

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