復讐少年？ (ページ45)

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四十一夜ページ45

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｢左、嫌なら使わなくていい、だけどな｣

俺がそう言うとビクッと肩を震わせる

｢俺は、『本気』のお前としたかった。俺じゃ、力不足なんだろうけど、緑谷の声、届いてるみたいでよかった｣

｢っ…わかんねえんだ。どう、使えばいいか…！｣

攻撃が止まる

轟の体は、かすかに震えている

きっと寒いからだ

｢そんなの、今から見つければいいだろ。お前の。『轟焦凍の個性』だろ…！｣

その場から1歩踏み出す

顔を俯かせて動かない轟

｢確かに、憎いかもしれない。嫌かもしれない、だけど…。使わないのは違うだろ。緑谷も言った。お前の力だ！｣

ゆっくりと歩み寄る

ヒーロー中心の観客席からエンデヴァー

生徒も先ほどの緑谷みたくお節介でもしてる、と眺めている

けどどこか違ったのに気づいた人はいない

｢お前が、轟が苦しいかなんてわかってやれない！｣

｢俺は、轟といて楽しいって思った｣

｢笑っていられた｣

｢轟のこと『友達』って思えたんだ｣

ポツリポツリと呟く

約1mの距離

きっと轟には聞こえてない

｢緑谷も、夜永も。どういうつもりなんだろうな｣

｢今は。考えてる｣

そう力なく微笑んだ轟

自然と目が合う

それが合図のように二人同時に動き出す

｢青春ってやつかー？！｣

｢(俺も、敵だとしても。お前らと戦いたいって思うよ)｣

その思いを乗せて力いっぱい拳で轟の頬に当てる

轟の拳は顎あたりにあたる

｢｢っ！！｣｣

二人して痛みに悶える

轟の手が胸ぐらをつかむように伸びてきた

それに気づけなかった

そして何故か意識が途絶えた

✱

目を開ければ白い天井

｢…なんで俺…｣

と首を動かした

｢おや、起きたかね｣

ついさっきお世話になったリカバリーガールがいつもの椅子に座っている

白いベット、消毒液の匂い、リカバリーガール

｢(保健室か｣

体を起こそうとするが上手く力が入らない

｢あぁ、こらこら。すぐ起きない！たっくもう、あんた何も考えずに『個性』使ってたね？｣

そう言われてピンときた

｢(はぁ、重量許容外(キャパオーバー)したのか)｣

ゆっくり瞬きをする

｢彼との試合、あんたボロボロだったよ。今日使った分が一気に来たんだろうねえ｣

キィ、と音をたてながら椅子から降りた

俺の方に近寄る

｢それとね、聞きたいことがある。………あんた。『女の子』だね？｣

その言葉に思わず目をそらした

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