復讐少年？ (ページ33)

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二十九夜ページ33

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轟焦凍はエンデヴァーの息子

そのワードが頭にこだまする

記憶の中の炎

目の前のすべてを、親を、殺した炎

｢……っ｣

ぎゅ、と拳を無意識のうちに握り締める

二人はまだ話しているがそんなこと頭に入らない

なんでこんなに胸が苦しい

俺は轟を友達と思ってたのか？

確かに一緒に居て楽しいと思えた

少し不器用だけど、でも心(しん)が強くて

時々見せる笑った顔が

｢……………？｣

なんだか心臓のあたりが痛む

｢(弔さんに帰ったら診てもらおう…)｣

何故か頭が轟のことでいっはいだった

精々話してから1ヶ月程度だ

それなのに……

｢(………なんであいつの息子なんだよ…っ)｣

静かに体が震える

奴は、エンデヴァーは、

俺の両親の仇なんだ

少し呼吸が整い、冷静になる

さっきまで耳に入らなかった二人の会話が聞こえる

｢『個性婚』知ってるよな｣

｢……！｣

体が固まる

｢『超常』が起きてから第二～第三世代間で問題になったやつ…｣

それは俺らの世代なら誰もが知ってるような単語だった

｢実績と金だけはある男だ…、親父は母の親族を丸め込み。母の『個性』を手に入れた俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった｣

｢うっとおしい…、そんな屑の道具にはならねえ。記憶の中の母はいつも泣いている…｣

｢『おまえの左側が醜い』と、母は俺に煮え湯を浴びせた｣

脳内で轟の顔にある火傷のあとを思い出す

何故か背筋が凍るような思いだった

｢ざっと話したが俺がおまえにつっかかんのは見返す為だ。クソ親父の『個性』なんざなくたって…いや…使わず『一番になる』ことで。やつを完全否定する｣

轟のその言葉は、決意の塊とあった

エンデヴァーを、父親を恨んでいる

｢(俺と同じか)｣

何故かそうわかった時、息がしやすくなった

肩が軽くなった

さっきの心臓の痛みは止んだ

｢俺は右だけでおまえの上に行く、時間取らせたな｣

そう言って足音がする

足音はこっちにくる

｢(は？！こっちにくんのかよ！！)｣

ひどく焦った

｢(くそっ、しかたねえ！)｣

ぶわっと風を起こして体を浮かす

なんとか距離を取る

すると轟と緑谷が出てきた

なにかまた話しているようだがここからは聞こえない

｢(青春、ってやつなのかな)｣

嫌にも清々しい青空を見上げた

｢…夜永？｣

話しかけられて思わずばっと、顔をそちらに向ける

｢(やばい、ぼーっとしてた)｣

そして向けば轟がいた

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