7.拒絶 ページ8
.
なんだかんだあったけど、それ以来笹沼さんと話すことはなかった。
「やっといなくなったね…変な女」
朝練後、国見に言われた。
『あはは、まあ変な女だよね』
ただ、不器用なだけなのかもしれないな。
昔の影山みたいに…。
彼女もいい仲間にめぐり合えれば、変われるかもしれない。
「やっぱ、いい人なのはぶってるだけだったんだね」
急に彼女の声がした。
『え?』
「中学のときの話。北一出身の友達に聞いちゃった。
金田一くん、優しそうな顔してチームメイトに結構エグいことしてたんだね」
俺は無視してしまった。
自分から話したことなのに。
こんな風な言われ方をするなんて思ってなかったから
体が固まった。
「いい加減にしなよアンタ…」
国見が笹沼さんにつっかかろうとしたので腕をつかんだ。
『いいよ、行こう…国見』
「気に入らないからって、試合中にトスをシカトとか。
見世物じゃん!酷いよねー!」
笹沼さんは、言葉を止めない。
『笹沼さんは…なにがしたいの』
俺は声を振り絞ってそう言った。
『そんなに俺のことが気に入らないの…』
「き、気に入らないよ…いい人ぶってるから…」
『俺別にいい人ぶってもないし、いい人でもないよ』
これだけは、言いたくなかったよ。
『俺にもう関わらないで』
45人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:茜 | 作成日時:2018年3月23日 16時