4.魔性の女 ページ5
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その日の昼休み。
廊下を歩いていると笹沼さんに出くわした。
「見てたよー？朝の。中村さんだっけ、私ああいういい子ちゃん苦手だなー」
『いい子ちゃんじゃなくていい子なんだよ』
俺が言い返すと笹沼さんは笑う。
「え、まさか友達の彼女のこと好きとか！？」
『違うよ、友達だから』
「ふーん……」
笹沼さんは俺をじろじろと見る。
「国見くん、顔良いのに女の子に興味なさそうだったからさ
あんな普通のたいしてかわいくないいい子ぶりっ子と付き合ってんのなんか腹立つ」
『笹沼さんの考えはよくわからないけど……二人の邪魔するとか、やめてあげてね』
「私……金田一くんみたいな人も嫌い。中村さんと同じだね！いい人ぶって」
顔はかわいいのに。なんて中身が残念な女の子なんだろう。
『俺のことは好きに言えばいいさ』
「カッコつけてる！そんなカッコつけたって、どーせ金田一くんに寄ってくる子なんて国見くん目当てだよ」
いや…別にカッコつけたりしてないし。
「中村さんだって、国見くんに近づくために金田一くん利用したんじゃないの？
いい子ぶってたって、腹の中何考えてるかわからないよ！」
俺は笹沼さんに何を言われても、気に止めなかった。
でも………俺のこと好きになってくれて、思いを伝えてくれた。
それから国見のこと好きになって、悩んでいた。
そんな中村のことを、そこまで言われて腹が立った。
「中村のことを悪く言うなよ！」
そう言って……つい。
彼女の肩を強く掴んでしまった。
「キャッ……痛い！」
『あ、ご、ごめん……』
謝ったときは、もう、遅かった。
「酷い……！」
笹沼さんは、その場にうずくまり泣き出した。
周りにいた生徒が、皆見ている。
「どうしたの？」
そこへ現れたのは、国見だった。
「アンタ、何？金田一に近づかないでくれる」
国見が笹沼さんに冷たく言い放つ。
「国見くん……なんで金田一くんを庇うの。金田一くん、中村さんのこと好きで国見くんから奪うつもりなんだよ……」
また、大胆な嘘つくんだから……
国見がそんな話信じるわけない。
「え……」
予想に反して国見は、ひどく動揺しはじめた。
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作者名：茜
| 作成日時：2018年3月23日 16時
