20.金田一くんと笹沼さん ページ21
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「ねえ、金田一。笹沼さんを試合に誘ってもいいかな?」
練習試合が決まってから、中村にそう聞かれた。
『俺は別にいいけど…中村って笹沼さんとそんな仲よかったっけ?』
「いや…そう言う訳じゃないけど…なんとなく誘ってみよっかなって」
「お前、もうしらじらしいよ」
国見が急に現れた。
「あの女が金田一のこと好きだからだろ」
「えっ!なんでわかるの!」
「わかるだろ」
『お前ら、ちょっと待て……』
このカップルの言ってることについていけない。
『何を勘違いしてるかわかんないけど、そんなわけないだろ』
俺が口を挟むと中村は黙る。
「影山に連絡とってお前と仲直りするようにセッティングしたのは笹沼だよ」
国見の言葉に。俺も中村も驚いた。
『ええ?そうなの!?なんで笹沼さんが…』
「だから金田一に気があるからだろ。だからって俺は納得してないけど」
なんだか、話がよくわからないけど
そこまでしてくれたんなら、御礼…言わないとな。
俺は立ち上がって2組へ向かった。
「どこ行くの」
『2組に行って笹沼さんにお礼言ってくる』
「俺はお前らをくっつけるためにこの話したんじゃないぞ」
国見は眉をひそめたけど。
『じゃあな、お二人さん』
俺は二人を置いて教室を出た。
『笹沼さん』
2組の教室の前で、友達と話している彼女に声をかける。
「あ…金田一くん…」
『影山に連絡してくれたの、笹沼さんなんだってね。国見に聞いた。
よくわかんないけどさ…ありがとね』
彼女は俯いて、こくりと頷いた。
最初に会ったときとは別人みたい。
なんだかしおらしくて、元気がないように感じた。
『そんなおびえないでよ。俺、もう怒ってないし
笹沼さんのこと、なんとも思ってないからさ』
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作者名:茜 | 作成日時:2018年3月23日 16時