窓ガラス越しのあなたに恋をした【不二周助】 (ページ26)

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二十五話ページ26

あ｢私が遅れてきた理由聞かないの？｣

私はどんな理由であれ三時間も待ち合わせに遅刻したのだから相手に遅刻した理由を教えるのは当然だと思う。

でも桃はさっきから私に遅れてきた理由を全く聞いてこない。

それどころか私の好きな抹茶アイスを買ってきてどこか座れる場所まで探してくれている。

桃の優しさが自分の罪悪感を募らせていく。

桃がベンチを見事に探しあてた時だ

桃｢俺はお前の笑った顔が好きだからわざわざそれを沈んだ気持ちにさせたくないだけだ。｣

桃がそう言ったとたん私はびっくりして手に持っていたアイスを落としそうになったがなんとかそれは回避した。

桃｢さっきのお前の質問の俺なりの答えだ｣

と、顔を耳まで真っ赤にしながらいうので私も照れてしまっていた。

…てか桃さっき私のこと好きって言ってたよね？(正確には笑った顔だけど)

あ｢恥ずかしいこといわないでよ｣

と、率直に思ったことをいうと

桃｢か、かか勘違いするなよ。俺はお前じゃなくてお前の笑顔が好きっていっただけだからな！｣

桃のあまりの動揺っぷりに思わず笑ってしまった。

桃｢やっとみれた。お前の笑顔。｣

あ｢へ？｣

と、間抜けな声をあげて桃を見ると｢なんたってお前の唯一の取り柄だもんな！｣と言われた。

あ｢失礼な！私は多分他にも取り柄あるから！｣

桃｢はいはいわかったわかった。てかお前アイス溶けてるぞ？｣

あ｢あっ！やばい早く食べなきゃ。｣

桃｢やっと本調子ってとこだな…。アイス食ったらすぐ行くぞ！｣

あ｢えー。ちょっと待ってよ、あと少しだから！｣

そう言っていそいでアイスを平らげた。

桃｢俺が行きたいとこあるからそこに行こうと思う｣

あ｢了解！で、どこに行くの？｣

桃｢それは着いてからのお楽しみってやつだ。さ、行くぞ｣

どこに行くのかわくわくしながら桃の後をついていこうとすると何故か手を握られた。

あ｢ちょっ…。桃！手繋がなくても歩けるし何か恥ずかしいからやめて！｣

桃｢悪いな。でも今はこうさせてくれ。｣

そんな悲しそうな顔されたら嫌なんて言えるわけもなく私は大人しく桃に手を引かれて歩き始めた。