俺のクソ愛しい彼女日記。【爆豪勝己】

大人になりきれないヒーロー、盆休みについて ページ39

爆豪side




「報連相はちゃんとしろと、お前にはあれほど言ったよな？なあ、光原。言ったよな俺は」

「…え、ええ。それはもう耳の穴かっぽじられて聞かされました」

「おい、轟、お前にも言ったよな？人への連絡を怠るな、と。1年の頃からお前には周りを頼ることを覚えろ、と言っていたな」

「…はい。言われました。あい…レイザーヘッド」



頭皮からこめかみを伝って頰、顎を滴った汗を拭ったときに聞こえた会話だ。積み重なった乗用車が凍っているのと、踏みしめていた地面が一瞬で真新しい道路に変わった時になんとなくいるだろうとは思っていたが、やはりこいつらはいた。轟も光原も前髪の大半は後ろに流れていたが、髪質のせいかひょこひょこと額の方に戻ってきたり跳ねたりしている。最近よく見る、光原が前髪を後ろに撫でつけてから数分後の髪型だった。

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「だぁぁぁあっついな」
光原が手持ち扇風機に髪をなびかせた。男4人の汗臭さが車内に回るのでやめろとさっきから言っているが、その気持ちはわからんでもなかった。

「言うなよあちぃだろ」
助手席に座る光原の後ろで前髪を輪ゴムで縛った半分頭が、ツッコミ待ちか？というくらいのブーメラン発言をして自分の氷をガリガリと食う。

「どっちもどっちだろ…あ、俺の『レッドスナック』食うか2人とも。中々イケるぜ」
お盆ということでこちらに帰ってきた切島が、この暑さでコーンスナック菓子を俺の後ろから勧めてくる。いらねえよ。

「何味」
轟の氷を首に乗せて服をびしゃびしゃにした光原がこれかき氷にして扇風機で飛ばせる？と後ろに聞く。普通に借り物の車なんだからやめろや。

「レッドスナックって切島モチーフの菓子だろぉ？番宣みてえじゃん」
三列目の上鳴が唸る。

「いや事務所から貰ってよ、まじ食い切れねえ量」

「だから何味なのって。教えて」
答えが返ってこないことにおい、と光原が振り向く。石鹸のような匂いがしてキスしたくなったが留まった。暑くて頭もそろそろ駄目だ。

「烈怒頼雄斗味」
どうだこれ、良いだろ？とばかりにクソ髪が宣う。

「クソまずそうじゃんありえねえ」
「いやそのネーミングはないわ」
「それ何味なんだ」
「クソ髪の味とか汗みてえでやだ」
の、途端総ブーイングだった。汗とか酷くね？！という切島からの言葉はガン無視する。ちなみにスナックには「烈怒」「頼雄」「斗」が刻まれていた。クソだせえ。

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