序章 ――追懐―― ページ1
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強く、風が吹く。
放課後、下校時刻が過ぎた校舎内には、先生達くらいしかいない。屋上に忍び込むことは容易かった。
腕の傷跡がズキズキと痛みを増していく。とっくに消えた筈なのに、癒えることのない痛み。私は腕を抑えて、静かに上を向いた。
夕暮れの空と、散らばった雲。まるで玩具箱。作り物のように美しい空に、思わず溜息がこぼれる。
――もう、終わりだ。
このフェンスを乗り越える勇気を持ってしまって。
希望も、夢も無い筈なのに――辛いから、やめたかった筈なのに。何故か、涙が溢れた。
空に溶けたくて。上を向いて一歩を踏み出すと、フワリ、身体が浮いた。反転して、いつも見ていた歪んだ景色が、逆さまになってる。
これで、最後なんだ。
今更、後悔したって遅いんだ。
最後は儚く散りたいな、なんて考えて。
涙で濡れた顔に、歪んだ笑みを貼り付けた。
*
抜けることの出来ない牢獄に。
永久に明けることの無い闇に。
――何処までも続く迷路に。
私は、囚われていた。
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紅苺(プロフ) - 如月 唯奈さん» 返信もの凄く遅れてしまって申し訳ありません! もしよろしければ、私の作品の『難しく考えない小説の書き方』をご覧ください。読んで欲しい作品等ありましたら、ここかそっちの作品に小説のURLを貼って頂ければ読ませて頂きます!面倒くさくてすみません。 (2019年1月16日 20時) (レス) id: b64ce74074 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 初めまして、紅葉さんの小説のコメントを見て、読ませていただきました!私も同じような小説を書いています!どうしたらうまく書けるでしょうか?アドバイス、もしよかったらお願いします! (2018年12月1日 16時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
紅苺(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます!そう仰って頂けて嬉しいです。 (2018年1月31日 20時) (レス) id: b64ce74074 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - 面白いです!サクサク読めて、よかったと思います。 (2018年1月30日 23時) (レス) id: 40878e1210 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 紅苺さん» いえいえ、前のも今のも綺麗でしたよ (2018年1月30日 18時) (レス) id: 934c3d6f9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅苺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kinakomoch3/
作成日時:2017年10月23日 11時