検索窓
今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:6,925 hit

序章 ――追懐―― ページ1



 強く、風が吹く。
 

 放課後、下校時刻が過ぎた校舎内には、先生達くらいしかいない。屋上に忍び込むことは容易かった。

 

 腕の傷跡がズキズキと痛みを増していく。とっくに消えた筈なのに、癒えることのない痛み。私は腕を抑えて、静かに上を向いた。


 夕暮れの空と、散らばった雲。まるで玩具箱。作り物のように美しい空に、思わず溜息がこぼれる。


 ――もう、終わりだ。



 このフェンスを乗り越える勇気を持ってしまって。
 
 
 希望も、夢も無い筈なのに――辛いから、やめたかった筈なのに。何故か、涙が溢れた。



 空に溶けたくて。上を向いて一歩を踏み出すと、フワリ、身体が浮いた。反転して、いつも見ていた歪んだ景色が、逆さまになってる。



 
 これで、最後なんだ。

 
 今更、後悔したって遅いんだ。



 最後は儚く散りたいな、なんて考えて。
 
 
 涙で濡れた顔に、歪んだ笑みを貼り付けた。






*




 抜けることの出来ない牢獄に。

 
 永久に明けることの無い闇に。



 ――何処までも続く迷路に。



 私は、囚われていた。

登場人物と簡単な世界観等の説明→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.3/10 (31 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
24人がお気に入り
設定タグ:オリジナル , 死神 , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅苺(プロフ) - 如月 唯奈さん» 返信もの凄く遅れてしまって申し訳ありません! もしよろしければ、私の作品の『難しく考えない小説の書き方』をご覧ください。読んで欲しい作品等ありましたら、ここかそっちの作品に小説のURLを貼って頂ければ読ませて頂きます!面倒くさくてすみません。 (2019年1月16日 20時) (レス) id: b64ce74074 (このIDを非表示/違反報告)
如月 唯奈 - 初めまして、紅葉さんの小説のコメントを見て、読ませていただきました!私も同じような小説を書いています!どうしたらうまく書けるでしょうか?アドバイス、もしよかったらお願いします! (2018年12月1日 16時) (レス) id: 0a57facb33 (このIDを非表示/違反報告)
紅苺(プロフ) - 心愛さん» コメントありがとうございます!そう仰って頂けて嬉しいです。 (2018年1月31日 20時) (レス) id: b64ce74074 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - 面白いです!サクサク読めて、よかったと思います。 (2018年1月30日 23時) (レス) id: 40878e1210 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 紅苺さん» いえいえ、前のも今のも綺麗でしたよ (2018年1月30日 18時) (レス) id: 934c3d6f9c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅苺 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kinakomoch3/  
作成日時:2017年10月23日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。