嫉妬 ページ43
あれは、なんだったんだろう。
俺にはわからない。
塾の授業中に、俺は先生の隣でそんなことを考えていた。
まず、雑談が無くなった。
あの土手に行くまでは毎回あったはずの先生と話す時間が、嘘のように消えた。
そして、あまり目を合わせてくれなくなった。
無かったことにされてるんだ。
俺と先生が確かに言い合ったあの言葉は、なんの意味もなかったってことか？
「じゃあ、今日はここ解いたら終わりね」
無性に腹がたった。俺は悔しくて、思わず聞いた。
「電話、なんで出てくれないんですか」
「……ちょっと」
「おかしいですよね。そう思いませんか、俺が滑稽で仕方ない、俺は先生みたいに大人じゃない、冗談だったわけじゃないのに、なんで忘れたふりするんですか」
一気にまくし立てると、先生は今日初めて俺の目を見た。
周りがざわつき始めたから、授業は終わりだ。
誰に聞かれてもいい。先生に目を見てもらえないくらいなら、こんなとこにいる意味がない。
「……終わり。課題、やってきてね」
先生は痛い顔をしながらそう言った。
思わず腕を掴みそうになったとき、視線を感じた。
平野先生だった。
目が合うと、あっちはすぐ逸らした。
なんだか、嫌な予感がする。
.
出口まで何も言わずに見送られ、靴を履いていると、平野先生が来た。
松井先生と何か話しているけど、声は聞こえない。
また、黒い、ざわざわした何かが、俺の中に棲みついている。
好きになってから生まれた、出会ったことのないものだった。
これが俗に言う、嫉妬、とかいうやつなのか。
馬鹿げている。俺は相手にされてなかったんだ、嫉妬なんてして何になる。
あの日、土手で先生が言ってくれた言葉を、俺は何度と思い出している。
もう何もかも面倒になって雑にカバンを持って立ち上がって、松井先生を見た。
平野先生に、何も言わずに微笑みかけた。
相手もそれを見て、微笑み返している。
そして、平野先生はその場を離れていった。
言葉のないその一瞬で、理解した。
友情ではない。ただの、同期というわけでもない。
あの2人は、
付き合っているんだ。
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たぴたん(プロフ) - やばいです！ドツボです！！すっごく好きなお話です!!!更新楽しみにしてます(^^) (2018年11月30日 23時) (
レス) id: 8fdbc6821c (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - さやさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです！少し話自体は長くなりそうなんですが、最後までよろしくお願いします。 (2018年11月25日 11時) (レス) id: 0414dcbdb3 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - はじめまして！これからどうなるの〜\(//∇//)\ 文章が読みやすくスルスル進んじゃいます！早く続きが待ち遠しいです！ (2018年11月25日 10時) (レス) id: e9d59d8006 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！経験浅いですが楽しんでいただけてよかったです。今後もぜひ、よろしくお願いします。 (2018年11月21日 13時) (レス) id: 0414dcbdb3 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 設定も内容もとってもドキドキして面白いです！海人君はクールでミステリアスさがあって、ルックスは勝手に胸キュンスカッとの中原君で想像してます〜(^^)更新楽しみにしてますね！ (2018年11月21日 10時) (レス) id: 647445b209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆ | 作成日時：2018年8月5日 22時
