ふたり ページ40
室長には、適当な理由をつけて鍵を任せてもらった。
「松井先生鍵閉めなかったんだよこないだ。
参ったよ。どうしたのかな」
「……あー、天然だし、忘れたんじゃないすか」
走って、2人で帰った日だ。
あの日から俺は、余計にAのことが頭から離れなかった。
.
「話してくれないんだよ。俺に。何があったか」
「俺も話す気は無いですけど」
全員が帰った後、2人で机の上に座りながら話した。もちろん、目は合わさない。
キス、したんだろうか。どこまで……
「わかってんの。お前。先生だぞ」
「……わかってます。よく」
「わかってねえよ」
「先生だって。………遊びなんじゃないんですか」
はっとした。あの会話、聞かれていたんだった。面倒なことになったと、自分でも思う。
「前まではね。でも、変わっちゃった。高校生が真ん中に入ってくるなんて予想外だけど」
「………渡したくないです」
遠くを見つめながら、そう言った。
素直で純粋な愛を感じて、俺は何も言えなかった。
大学で不純になったか？俺。
ふっ、と笑うと、静かな目で俺を見た。
「俺の予想。A、君と話さなくなる」
「……どうして、そう思うんですか」
「オトナ、だから」
そう馬鹿にしたような口調で言うと、そいつは俺の服を強く引っ張った。
「あんたに、なにがわかるんだよ」
「分かるよ。高校生と恋愛するなんて、馬鹿げてることくらいは。どこまで行ったのか知らないけど、そんなの全部嘘。相手してくれてんだよ」
「お前ふざけんなよ」
胸ぐらを掴もうとしてくる手を、俺は強く先に掴んだ。
こんなに感情を露わにするやつだったのか。
「本気になんなよ。好きとでも言われたか？
現実見ろよ。付き合えんのか？幸せにできるか？」
「………」
時計を見ると、遅い時間になっていた。
あまり遅いと、親から連絡が来る。
それはまずい。
俺は静かに手を離した。
「……大人げないって思うだろ、俺のこと」
「………はい。かなり」
「だよな。俺もそう思う。柄じゃねんだよ」
帰る準備をしながら話した。
スマホを見ると、通知が来ていた。Aからだった。
名前を見て、想いが溢れ出そうだ。
会いたい。
俺だって、色んなこと、知ってる。
「久々なんだよ。この感じ。嬉しいんだよ」
鍵を持って歩き出すと、そいつは俺を目で追った。
「お前はAで世界が変わったかもしれないけど、それ、お前だけじゃねえぞ。
勝手に、お前のものにしようとすんなよ。
俺はいつだって、お前らのことばらせるんだからな」
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たぴたん(プロフ) - やばいです！ドツボです！！すっごく好きなお話です!!!更新楽しみにしてます(^^) (2018年11月30日 23時) (
レス) id: 8fdbc6821c (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - さやさん» ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです！少し話自体は長くなりそうなんですが、最後までよろしくお願いします。 (2018年11月25日 11時) (レス) id: 0414dcbdb3 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - はじめまして！これからどうなるの〜\(//∇//)\ 文章が読みやすくスルスル進んじゃいます！早く続きが待ち遠しいです！ (2018年11月25日 10時) (レス) id: e9d59d8006 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 花さん» ありがとうございます！経験浅いですが楽しんでいただけてよかったです。今後もぜひ、よろしくお願いします。 (2018年11月21日 13時) (レス) id: 0414dcbdb3 (このIDを非表示/違反報告)
花(プロフ) - 設定も内容もとってもドキドキして面白いです！海人君はクールでミステリアスさがあって、ルックスは勝手に胸キュンスカッとの中原君で想像してます〜(^^)更新楽しみにしてますね！ (2018年11月21日 10時) (レス) id: 647445b209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆ | 作成日時：2018年8月5日 22時
