56 ページ6
「可愛いサンタは明日もケーキを売るらしいぜ」
「は?」
「あー、そういえば
今日はもう少しでサンタをお買い上げされる所だったよなベンケイ」
「!
あー、アレは危なかったな」
ニヤニヤと笑う2人とは逆に、は?と顔を険しくさせるココ。
その時ちょうどコンビニから出てきたイヌピーを見たワカさんは、よっこい。と立ち上がり、イヌピーの肩を組んだ。
「帰るぞ青宗
飲み付き合え」
「え、俺おでん食ってるけど」
「歩きながら食えよ
ベンケイバイク」
はいはい。とイヌピーのバイクのスタンドを立てたベンケイさんは軽々とあの大きなバイクを動かす。
もぐもぐと頬を膨らませながら、じゃーな。とお箸を持ったまま手を振るイヌピーに、呆然としたままココと手を振り返した。
「……イヌピーが拉致られた」
『未成年を飲みに誘う大人って…』
私の方を向き直ったココは手に待つおでんの容器を見て、冷めたんじゃね?と指差した。
『あ、忘れてた』
餅入り巾着に齧り付けば熱くはなく、もちーと伸びたお餅をむしゃむしゃと食べていく。
その様子を見ていたココは、クスっと笑った。
「お前ほんと小動物みたいだな」
クスクスと笑うココの顔に見惚れる。
「小せぇ口で美味そうに食う」
そう言いながらサラリと頬を撫でたココの手が先ほどとは違って暖かくて、無意識にソレに擦り寄った。
ピクっと動きを止めて手を引っ込めたココは、その手の甲を自身の口元に当て、少し赤い顔で目を逸らした。
それを見て私までつられて頬を染める。
「あ、明日…俺が迎えに行く」
『え、あ、ぉねがい…します、』
12月24日の22時になりそうな時間に、コンビニの前にしゃがみ込んで頬を染める2人。
一体何やってんだか。
そう思うが、冬の寒さなど忘れるほど熱くなった体にすっかり冷め切ったおでんの出汁を流し込んだ。
寒くね?と家までの道で書かれた言葉に、熱いです。と言えるわけもなく
『大丈夫だよ
おでん食べたし』
と笑う。
歩くたびに少し触れる肩。
触れるたびに少し離れて歩き、2歩ほどで今度は指先が触れる。
全てが体を温めるには十分で、ココもそうなのかな。と盗み見るとバチっと目があって慌てて逸らした。
「……お前マフラー持ってねぇの?」
『え?』
サラッと肩にかかる髪にココの指が通る。
「首元が寒そう」
『あー、探したんだけどなくて』
実家かも。と言う言葉は飲み込んだ。
463人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉兎(プロフ) - えりちゃんさん» 初めまして!コメントありがとうございます☺️ なんと2回目!楽しんでもらえて嬉しい限りです!! これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!✨✨ (6月15日 11時) (レス) id: 51ccdf4ac7 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして☺️実は読ませてもらうの2回目なんですが、きゅんきゅんが止まりません!毎日の楽しみになっています💕 (6月15日 2時) (レス) @page7 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 香恋さん» コメントありがとうございます! はじめまして☺️ 中毒症状出ましたか〜夜更かしまで😂😂 嬉しいコメント励みになります✨ありがとうございます🥰 頑張ります!!💪 (2023年1月29日 20時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - はじめまして!一昨日この作品を見つけて、テンポも良いし面白すぎて読むのが止まりませんでした!読む手が止まらなくて中毒症状出ました笑。面白い展開と文才の凄さに夜通し読んでしまいました!更新楽しみにお待ちしてます😭 (2023年1月29日 13時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!!✨ 嬉しいお言葉感謝感激です!!🥳 地道に下書き進めてますので少しお待ちください!よろしくお願いします☺️ (2023年1月24日 22時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玉兎 | 作成日時:2022年10月28日 18時