84 ページ33
全ての力を使い果たして役目を終え、どこか哀愁の漂う袋に手を伸ばして掴み、ゴミ箱に押し込んだ。
お疲れさん。と心の中で言ったが、果たして袋に伝わったのか。
「家族は元気だったか?」
『元気すぎて隕石落ちても死なないと確信した』
「なんかAの家族想像できるわ」
Aの言葉を聞いて、ふはっと笑って言うイヌピーに同じく笑いながら同意する。
そこからしばらく話していたが、明日から学校だと言うAに、荷解きと学校の用意があるだろう。と早めに家まで送りとどけることにした。
もちろんAがくれたお土産は、店にある新しい袋に詰め直して持っている。
ガラガラとキャリーケースを引っ張り、Aと手を繋いで歩く。
「学校朝何時に家出てる?」
『んー7時半くらいだけど、なんで??』
「朝学校まで送る」
『え、あの件解決したのに??
いいよ自転車で行くよ?』
「あのハンドル曲がってるやつか?
尚更危ねぇわ」
『だって朝早いじゃん』
元々自分は睡眠はそんなに必要としないタイプだし、早いと言っても苦ではない時間。
無理もしてないし、Aが気を使う必要は全くない。
けど、そんな堅苦しい理由だとコイツは納得しないだろうってことはわかる。
そんなことを思いながらついたマンションの下。
少し黙った俺に、Aは不安げな顔をする。
キャリーケースから手を離してAの頬を撫でれば、冬の外気に当てられてひんやりとしていた。
「…俺がAに会いたいだけ
Aは違う?」
あえて少しAを困らせる言葉を言えば、案の定慌てて首を横に振る。
『私もココに会いたい!』
あまりにも計算通りなセリフに思わず口角が持ち上がった。
「じゃ決まり
明日朝迎えにくるから
帰りも終わる時間教えて」
『わかった
ありがとう』
Aの礼に、こちらこそ。と答える代わりに前髪を持ち上げて額にキスを落とす。
「土産ありがとな
風邪ひくから中入れ」
『ん、おやすみココ』
ヒラヒラと手を振ってキャリーケースを引っ張っていくAに、おやすみ。と右手を軽く上げて返事をする。
エレベーターに入って行ったAを確認して帰路に着いた。
.
..
そこから2週間経った頃、あからさまにAのバイトの入る回数が増えた。
ほぼ毎日だ。
学校が休みの日も入っている。
463人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玉兎(プロフ) - えりちゃんさん» 初めまして!コメントありがとうございます☺️ なんと2回目!楽しんでもらえて嬉しい限りです!! これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!✨✨ (6月15日 11時) (レス) id: 51ccdf4ac7 (このIDを非表示/違反報告)
えりちゃん - はじめまして☺️実は読ませてもらうの2回目なんですが、きゅんきゅんが止まりません!毎日の楽しみになっています💕 (6月15日 2時) (レス) @page7 id: 84c92b84c7 (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - 香恋さん» コメントありがとうございます! はじめまして☺️ 中毒症状出ましたか〜夜更かしまで😂😂 嬉しいコメント励みになります✨ありがとうございます🥰 頑張ります!!💪 (2023年1月29日 20時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
香恋 - はじめまして!一昨日この作品を見つけて、テンポも良いし面白すぎて読むのが止まりませんでした!読む手が止まらなくて中毒症状出ました笑。面白い展開と文才の凄さに夜通し読んでしまいました!更新楽しみにお待ちしてます😭 (2023年1月29日 13時) (レス) id: da7568f49d (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - れなさん» コメントありがとうございます!!✨ 嬉しいお言葉感謝感激です!!🥳 地道に下書き進めてますので少しお待ちください!よろしくお願いします☺️ (2023年1月24日 22時) (レス) id: 5cb8755336 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玉兎 | 作成日時:2022年10月28日 18時