106 ページ6
片手をAの後頭部に、もう片方を膝裏に滑らせて足を持ち上げれば、自然と後ろに倒れ込む。
キスをしたままAの頭をゆっくりとソファーに下ろして、深く深く絡ませていく。
『っん』
トントンと叩かれる胸にハッと我に返った。
口を離せば細い銀色の糸が繋がる。
自分の下で肩で息をしているAの目には、先程とは違う涙が浮かんでいて少し苦しげに眉がハの字に寄せられていた。
顔も赤く、どちらのものかわからない唾液で濡れた唇も官能的だった。
「っ……わ、わるい…」
大丈夫か。と続けようした言葉は、Aの手が俺の顔に触れたことで止められる。
『ごめん、息が続かなくて…
ちょっと休憩』
ふにゃっと笑うAの言葉に目を見開く。
休憩！？
正直これ以上はやばい。(と言うか今だって自分の身体は確実に反応しているわけで、それを悟られないように隠してる真っ最中なのだが)
今すぐ50キロくらい離れたほうがいいくらい理性はほぼない。
『ココ？』
「あ、いや、…今日はもう寝たほうがいい」
『ココも一緒？』
「おま…」
お前は俺を殺す気か？
出かかった言葉を飲み込む。
理性はほぼ無いが、門番はまだ仕事ができるらしい。
『もう大丈夫だよ』
両手を伸ばして俺の頬に触れてそう言うAに、ガクッと項垂れる。
「……意味わかってんのか」
Aのことだから絶対わかってない。
何が？とか返ってくる。
どうしたの？ココ。って首を傾げながら目を丸くさせて言うに決まってる。
『わかってるよ』
ほら。……「は？」
顔を上げれば、少し横を向いて口元に手を当てているAが目に入ってこちらが目を丸くさせる。
『…ココ、なら…大丈夫だから…』
「……は…」
もう言わない。と両手で顔を覆ってしまったAの耳は真っ赤で、ようやく理解した俺も顔に熱が一気に押し寄せた。
おそらく赤くなっているだろう顔を隠すようにAの肩に額をつける。
ドクドクと先ほどからうるさい心臓の音が二重になっている事に気付いて顔を上げた。
いまだに両手で顔を隠しているAの胸元に少し耳を当てれば、自分よりもはるかに早く大きい音が鳴っていて思わず吹き出した。
「A大丈夫か？
心臓の音すげーけど」
まぁ全く人のことは言えないのだが、少し余裕ぶりたいのは俺のプライド。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 539人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ニック(プロフ) - めちゃめちゃ面白くて読むの４回目くらいです！！！彼氏がこの作品読んでココみたく優しい彼氏になりますように。 (1月31日 17時) (
レス) id: 5c83f0ecd6 (このIDを非表示/違反報告)
SELENE(プロフ) - 最高最高最高最高最高最高最高でした🥺途中から小説と現実の区別がつかないくらいお話に入り込んでました…。途中途中、何度もサイレントで叫びまくりました。素敵なお話をありがとうございました❣️ (1月30日 15時) (レス) @page47 id: def6971c7c (このIDを非表示/違反報告)
玉兎(プロフ) - むーこさん» コメントありがとうございます！✨そう言っていただけるととても嬉しいです😭😭 お気遣いまでしていただいてありがとうございます！これからもどうぞよろしくお願いします🥰p.s やっぱイヌココには幸せになって欲しいですものね✨ (12月13日 9時) (レス) id: ddae56ab6c (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - p.s カナちゃんとイヌピーくんくっついてくれて嬉しかったです！ (12月12日 23時) (レス) @page47 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
むーこ - 完結本当におめでとうございます！玉兎さんのお話しを読んでいると心がぽかぽかします！文章と表現がすごく綺麗でキャラクターや小説への愛が伝わってきます。日々色々あると思いますが、体に気をつけて次回作も無理せず書いてください‼︎ (12月12日 23時) (レス) @page47 id: 612ac16389 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：玉兎
| 作成日時：2023年2月16日 11時
