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283.大人(ユン・ジョンウ) ページ36





「ごめんナナ。本来はリーダーの俺が一番責められるべき立場だったのに」

 トレーニングが終わったあとにナナにそう言うと、ナナは「ジョンウ兄さん、謝らないでくださいよ」と苦笑いを漏らした。


「リーダーに責任が全部ある、だからリーダーが一番怒られなきゃいけない、ってのもおかしいじゃないですか。さっき先生達にも言ったんですけど、このままじゃ本番に間に合わないって思った時点ですぐに言うべきだったんですよね。一回反対したからこそ。みんなはやっぱり変えようって言い出しにくいだろうし、何よりステージの準備をして実際にステージに立つ、って経験は俺がこの中で一番あるはずですから。多分、ヨンジュン先生もそれを察してたからああ言ったんだと思います」

「いや、だとしてもナナだけあんな言われなくても……」

「まあヨンジュン先生にあんな風に言われるのは初めてじゃないですし。ほら、シグナルソングの時とか。あの時の方が全然怖かったので大丈夫ですよ。ジョンウ兄さんも実際に見てたから分かりますよね?」

「まあ……確かに」


 俺の返しにナナは自分「ですよね」と笑いながら言って。それからナナは一瞬だけ視線を落として「それに、」と口にした。



「俺、N͜͡umberで活動していたときも、今でも、ずっとメンバーやN͜͡umberというグループに甘えてたんだなって。自分はマンネらしくないっていつも思ってたけど、実際は一番マンネって立場を利用してたんだって、ヨンジュン先生のおかげでそう気付きました。前回のグループバトルはたまたま上手くいったけれど、本当は年上の人に任せるとか、自分はマンネだったから〜って言い訳したりしちゃ駄目なんですよね。俺はもうひとりぼっちで、大人なんだから」

 大人に、ならなくちゃ。

 そう小さく呟いたナナ。それに胸に引っかかるような違和感を感じて、咄嗟に「それは違う」と言おうとした。でもその前にナナは空気を変えるようにパン、と両手を合わせた。



「とにかく、俺の考え方が間違ってたんだと思う。今日のトレーニングで気付いたよ」

「……それを言うなら俺もだよ。俺も間違ってた。ダンスに欲張らなくても良いステージが作れるって。今ならわかる気がする」

「マスターのおかげですね」


 ナナと俺の言葉にユンソがそう言って手を振り下ろす。ホンハイもそれを真似するのを見ながら、「エムカウントダウンに行かせてやる。一緒に行こう」と言えば、みんな笑って頷いた。





284.編曲(チ・ユンソ)→←282.迷い(ユン・ジョンウ)



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アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます! 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました!思わず、ナナー!!!!って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年7月24日 22時

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