280.サムネイル ページ33
・
「二人とも早いねー」
「あっ……ナナ兄さん」
「おはよう、ございます……?」
夜にまた会おう、とケイタとユジンと別れて練習室に向かうと、ユンソとホンハイが二人座ってタブレットを見つめていて。そんな二人に「おはよう」と声を掛けると、二人とも体をびくっとさせて、それからぎこちなく振り返って私を見た。
(そんな驚くことかな……?)
明らかに目が泳いでいる二人に、ハンビンとのやりとりを思い出して気持ちが萎む。でもすぐに笑顔をつくって、「二人で何見てるの?」と二人が見ていたタブレットに視線を移した。
「いや、これは……」
「ええっと……」
「あ、もしかして隠れてエゴサとかしてた? 大丈夫だよ。一応禁止とはいえやりたい気持ちはわかるし、別にスタッフさんに言ったりしないから〜……って、これ……」
笑いながら二人に近づいて、タブレットを覗き込んで。そうして目に入ったそれに、ぱちりと目を瞬かせる。てっきりTwitterとかそういうのだと思っていたのだけど、そうじゃなかった。
「……懐かしいね」
ひくりと浮かべた笑顔が固くなるのを感じながら、それでもいつも通りの声でそう言った。
タブレットに映されていたのはYouTubeの検索画面。検索バーには「ナナ MCステージ」と入れられていて、そのすぐ下には私とヨンジュが『MUSIC BANK』のMCステージで披露した『Home』のパフォーマンス動画がある。知らない間に5000万回以上再生されているらしいそれに、ちょっと驚いた。
(当たり前だけど、本当にこの時と同じ髪色なんだな……)
今と同じミルキーピンクの髪で、ローズブラウン色のスーツを身につけた私。茶髪に、ピンクがかったアイボリー色のスーツを着たヨンジュ。背中合わせの自分とヨンジュのサムネイルを眺めながら「まだちゃんと残ってるんだねー」と笑う私に、青い顔をしたホンハイが「ご、ごめんなさい……!」と声を上げた。
「ユンソと話しているうちに、ナナ兄さんのMCステージのの話になって。僕がそのステージ見たことなかったから、それでつい……」
「いや、僕が見たことないなら見た方がいいですよ!ってホンハイ兄さんにすすめたんです。だからホンハイ兄さんは悪くなくて……!」
「や、全然謝らなくていいって。別に何とも思ってないから。気にせず見て」
「よ、良かったあ……じゃあ早速見ますね!」
ホンハイがひどく安堵した顔でそう言って、それから動画をタップして再生した。
・
1852人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アップルパイ(プロフ) - なのこ5546さん» いつもコメントありがとうございます! 更新してすぐ読んで頂いて本当に嬉しいです。書いてる自分もしんどいな……と思っているので、早く明るいシーンまで行きたいなとなってます……🥲 これからも更新頑張るのでぜひよろしくお願いいたします。 (8月4日 3時) (レス) id: a55c9bddea (このIDを非表示/違反報告)
なのこ5546(プロフ) - 最新話読みました!思わず、ナナー!!!!って叫んじゃいました😭アップルパイさんの小説大好きなのでこれからも更新楽しみにしています💘 (8月2日 7時) (レス) @page22 id: 2327b9d39c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アップルパイ | 作成日時:2023年7月24日 22時